違うものと同じもの 己は両親と祖父をはじめとした一族に見捨てられるべきという考えを持った事はない。
だっていつでも私を尊重し、肯定の言葉は山の如く積み上げられてきたのだからそれを否定することは愚かだろう。
どれだけ己を恥じてもジョンが掘った穴に入り、そのまま埋められる事を望んだ事はない。
だってこの小さな手足は私との明日を進む為に地を歩いてきたのだからそれに応えて私も歩きたい。
貧弱な己が身を無理に鞭打って肉体労働を強いたことはない。
だって癖の強い優秀な部下やハンター達と協力し、私の超精密機械並みの吸血鬼探知能力と明晰な頭脳と共に作戦成功を収めてきたのだからそれは役割を見極め存分に発揮できている優秀な私には必要ないのだ。
だから私はかの忘れん坊な小鳥とは違う。彼との出会いが無くとも己の本分を尽くせないとは思わない。
それでも彼の象牙のように白い頑強な身体が傍にあるだけで、銀髪が夜風の波に抗うよう揺れるさまが視界に入るだけで、この心は弾んで思い出したかのように歌を囀ってしまうのだ。