Buddy「ラーハルト、見てくれ」
呼ばれた男は、ダイニングに向かって「今行く」と呟いた。
最後のクロケットにパン粉をまぶし、鍋の火加減を調節する。
「女王、D6、僧正を取る。どう思う?」
ヒュンケルの弾んだ声に、ラーハルトは粉だらけの両手を振りつつキッチンから出てきた。
「相手のレベルは?」
エプロンで両手を拭い、魔法のチェス盤を覗き込む。
「階級はビギナー、妖魔系モンスター、対戦履歴は十五回」
と、ヒュンケルがステータスを読み上げる。
「嘘だな」
ざっと棋譜を見返して、ラーハルトが鼻を鳴らす。
「少なくともベテランだ」
地上から魔界までを接続する、チェスプレイヤーの通信魔法。
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