その先の光私は成すべきことを全てを終わらせたようだ。
休む間もなく体が先に動いて、導かれるようにラノシアから船に乗った。抜け出した里に帰るのは危ないだろうからその近辺だけど…何となく故郷の景色を見たくなった。
あれから何年、何十年経っただろう。
「…ミサト」
彼の名前はずっと頭の片隅にある。ゴルモアへ発った彼のその後を私は知らない。事実として知っている事はこの旅で得た世界の情勢と歴史、そして当時…あの時の戦いでダルマスカが帝国の属州になったこと。
私達が暮らしていた里は位置が遠かったから大きな被害はなかったけど、そこで何が起き、どんな惨状が広がっていたのかをこの目で見た訳ではない。
私が今ここに立っている理由は一つ。彼の、自由…世界の豊かさを求めるあの眼差しだった。私に向けられたものではない。血にも塗れていた。でもあの目には私の心に訴えかける何かがあった。あの時ははっきりとわからなかったけど…。共に過ごした子供に、私は授けてしまったのだと思う。
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