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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    書きかけ多数。

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    @7_kankankan_100

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    光あれ、の進捗。
    どこかに出さないと落ち着かない性分なももので😅
    全然出来上がってから読んでくださって大丈夫です。

    #どひふ
    servant

    光あれ、進捗「独歩!どっぽ、どっぽー! これ見て!」
    お風呂に入りに行ったと思った一二三がドタバタと戻ってきた。夕食後に自分の部屋に戻らずダイニングキッチンに居座っていた独歩はここ数年聞いたことがない騒がしさに一瞬何が起こったか分からなかった。
    だって一二三は女性恐怖症になってからずっと塞ぎ込んでいたから。最後に賑やかな声を聞いたのはもう4年も前で、あの頃子供だった自分たちは今やすっかり社会の一員になっていた。そんな長い時間を経ても一二三の恐怖症は治っていないのに、一体どうしてこんな弾むような明るい声が聞けたのだろうか。
    「なんだ、どうしたんだ!」
    あまりの急な出来事にイスから落ちそうになった独歩が体制を立て直して一二三と対峙すると、一二三は腰に巻いていたタオルをそっと開いた。
    「おれっち……勃ってる……っ、ちゃんと勃ってるよ」
    綺麗な唇を歪ませて噛み締めている一二三はすぐに表情がくしゃくしゃになって、あっという間に頰に涙が流れた。
    ああこれは嬉しいはずだ、とどうしてあんなに明るい声だったか分かったのと同時に独歩も胸が熱くなった。

    四年前から、一二三は恐怖症のストレスから性的欲求がなくなっていた。触れ合うことはできるけどそういった反応がまるで起こらない。一二三は挿れる場所はあるからできるよ、だなんてとんでもないことを言ってきたが独歩がそんなこと許すはずがなかった。一二三の体がちゃんと反応するまで待とうと思っていたが、それが時々一二三の重荷になっているのは知っていた。その度に独歩は抱きしめて抱きしめて安心させてきた。一二三が悪いわけじゃないことは、独歩が世界で一番知っている。
    だけど、どうやら彼らにまた一筋の光が差したようだ。
    先の見えない暗闇をもがき進んでいた彼らに最初の光が差したのは、一二三がホストになりスーツを身に纏えば女性の前でも平静に振る舞えること。次の光は、そのおかげや一二三の持ち前の努力でみるみるうちに人気が出て数ヶ月でナンバー入りしたこと。そしてナンバーワンを目指す志しが生まれ、真っ暗闇だった足元がほんのりと明るくなって、未来はまだまだ見通せないけれどだいぶ歩きやすくなった。
    一二三は、それもこれも独歩が決して見放さずに自分を支えてくれたおかげだと思っている。そんな彼とまた体を交えて愛し合えるのが堪らなく嬉しくて、涙が止まる気配がなかった。
    次から次に溢れ出る涙はついに手では拭いきれなくなって、一二三は手にしていたタオルで顔を覆ってしまった。
    「ばか……前が丸見えだぞ」
    独歩がクスリと笑って一二三を抱き寄せた。泣き止めとは言わない。一二三がこの数年泣くのをどれだけ我慢してきたかも分かっているからだ。いや、感情の発露さえ上手くできなかったのかもしれない。そんな一二三が嬉しさを露わにして泣いているのを止める理由なんてどこにもなかった。
    「また、おれと、えっちしてください……」
    独歩の肩口で震える金色がポツリとそう言った。
    「こちらこそまた可愛がらせてください」

    * * *

    はあ、と一二三は一つ深い呼吸をついた。すっかり泣き止み息を整えたが、起立した性器はまだ治る気配はない。何年ぶりかの血の集まる感覚は痛みさえ伴って、早く吐き出したいと思った。
    「どうした?」
    独歩が心配そうに見つめてきたが一二三は恥ずかしくて見返すことができなかった。こんな空気はあんまりにも久しぶりでどんな顔をしていいか分からない。一二三は再び独歩の肩口に顔を埋めて額をすり寄せた。
    「あの、あのな……今から、えっち……したい」
    一二三は今度は胸がドキドキと高鳴ってきた。独歩との熱さを感じられるという期待が、はっきりと言葉にすることで煽られた。
    そうしたいのは独歩もやまやまだが、数年ぶりの行為をいきなりしていいものなのか一瞬戸惑った。今日はせめて触るだけで……と思ったが、一二三はそろりと顔を上げると「おねがい」と言ったのだ。その口ぶりから、一二三の心の揺らぎを感じた。いくら体の感覚が戻ったと言っても、本当にできるかと不安に違いない。きっとここで上手く交わせたとしても一二三の心は晴れないと思って独歩は彼を受け入れることにした。
    いいよ、と返事の代わりにキスをする。この数年触れるだけのキスだったが、そっと一二三の唇を舐めてみるとまるで初めての時みたいに肩がビクッと跳ねていた。一二三も応えて舌を出してきたので、ちゅっと吸い上げると独歩は腹の底が熱くなり始めた。久しぶりの一二三の味は相変わらず甘くて、一二三への想いはちっとも変わっていない事を再認識した。
    「ひふみ……好きだ」
    考えるより前に口から言葉が溢れてくる。何があっても、どんな姿になっても一二三のことが好きだった。一二三が自棄になって、構わないでくれと言った時でさえも離れる気なんて微塵も起きなかった。どうやったらまた一二三が笑ってくれるかそればかり考えていた。はずなのに、一二三は独歩の腕の中でまた大粒の涙浮かべていた。
    「泣くなよ」
    「これは泣くっしょ……。えっと……準備、久しぶりだから時間かかるかもしんねーけど、待っててくれる?」
    「もちろん。だけど無理するなよ、ダメそうだったらちゃんと言ってくれ」
    「へへ、多分だいじょーぶ。後ろ、なんかそわそわした感じしてるもん」
    はにかんだ一二三がお風呂へ戻るのを見届けたあと、独歩は一二三の感触が残る自分の手のひらを見つめた。さっき抱きしめた一二三はもう薄っぺらくなんてなかった。
    同居を初めて約半年。その間に一二三はたくさん食べられるようになった。ちょっと前までは顔を合わせるたびに痩せているような気がして、実際食欲もあまり湧かないらしく数年ですっかり食が細くなっていた。
    だけどしっかり食べるようになってからは顔色も良くなった。勤め先の人たちにも細すぎると言われて焼肉屋へ連れて行かれた話を何度か聞いた。女性さえ怖くなければ、一二三は本来器用だし気が効くので仕事はまあまあ順調らしい。その事実は、転職した独歩が新しい職場で頑張るのに背中を押してくれるものだった。
    あったかくて柔らかくて、以前の一二三がそうだった事を思い出す。独歩はこのあたたかさがもう逃げていきませんように、と祈りにも似た願いを込めて手をぎゅっと握りしめた。

    一二三がお風呂に入っている間に独歩は急いで部屋に戻った。ベッドの上に散乱している服なんかをザッと落として部屋の隅に寄せれば場所は確保できた。
    突然の出来事に気後れはしたが、少し時間を置いた今は久しぶりに一二三を抱く事に緊張している自分がいるのが分かった。一二三にちゃんと優しくできるだろうか、とそんな事ばかり考えていて、独歩はこの時肝心な事を見落としていた。

    「どっぽ〜? こっち?」
    ドアをノックする音と同時に一二三の声も聞こえて、独歩は慌ててドアを開けに行った。この数年を思い返しているうちにいつに間にかこんなに時間が経っていたようだ。
    「悪い、こっちにいるって言ってなかったな」
    「だいじょぶ。てか俺っちも遅かったっしょ?」
    「そんなに待ってないよ」
    パンツ一枚で、上にはタオルを肩からかけて前をきゅっと手で閉じている姿の一二三の視線はずっと下だ。緊張しているのだろうか、足先ももじもじしているのが見えて、独歩は一二三をそっと引き寄せた。
    「俺も……ちょっと緊張してる」
    独歩が大丈夫だよ、と言わんばかりに耳元でそう囁いてこめかみにキスをすると、一二三はよろしくお願いします……、とタオルをそっと取り払った。



    ─────────────────── ここから下が新しく書いたとこ⬇︎

    * * *

    独歩は覚えているだろうか、俺たちが初めてセックスした時の事を。
    あの時もすごく緊張したんだ。小さい頃からずっといるのに、お風呂だって一緒に入ったことあるのに。緊張するなんて笑っちゃうよなって誤魔化すように笑ったら、独歩は意識してくれてる証拠だから嬉しいって言ってたっけ。ずっと友達としてしか見られてないと思ってたからなんだってさ。そんなわけないじゃん。まあ、独歩のことが好きだっていう気持ちはだいぶ後から気付いたけど、独歩のことはずっとずっと特別だった。
    いないと寂しくて、いると嬉しくて。
    お母さんに抱きしめてもらった時のホッとする気持ちとは違って、独歩とくっつくと心強い気持ちになれた。百人力の相棒って言うか、独歩がいるから安心って言うか、とにかく独歩といれば世の中に怖いものなんてない感じ。
    独歩は態度がおどおどして弱そうに見えるけど、独歩は昔から強い言葉を持っていた。同じ言葉なのに、独歩の口から放たれた言葉はどうしてだか強いものになる。
    独歩の母親は、独歩が小さい頃に頑固で困ることがたびたびあったと言っていた。これは良く言えば一途で貫き通せる意志があるということだ。俺は小さい頃から独歩のそういう強さを無意識に感じ取って惹かれていたのだと今ならそう思う。
    そうそう、中学の頃だっけ、俺が先輩の彼女そそのかしたとか言いがかりつけられた後に仕返しだって言って万引き犯に仕立て上げられた事があった。授業が終わって帰ろうとしてたら先生に呼び止めらて、昨日起こった万引きの件について聞かれた。一体なんの事か分からなくて、話を聞いたら先日絡まれた先輩の名前が出てきて。万引きは全部俺に指示されてやったって言ってたんだって。その頃俺は自分は何もしてないのに、顔の造りがお母さんに似て派手だったから周囲の格好の噂の種にされていたらしい。そういうのを先生も耳にしてたんだろうな。俺の言い分は聞き入れてもらえなくってさ。でも一緒にそこにいた独歩が急に先生に食って掛かったんだ。こいつのこと何にも知らないのに言いがかりはやめてください!って。独歩は俺が勝手に噂にされてるの知ってたみたい。俺はその時独歩って本当に自分の意志が強いんだなって感じた。だってみんなが避ける強面の生活指導の先生に尻込みしないんだぜ? 俺なんか実はちょびっとびびってたのに。先輩に絡まれたのを黙ってたのも後で独歩に怒られたな。何もしてない一二三がなんでこんな目に遭わなきゃいけないんだって。
    俺のために怒ってくれる独歩。俺のこと信じてくれてる独歩。俺のこと好きでいてくれる独歩。
    そんな独歩と世界で一番くっつけるセックスは最高に幸せな瞬間だった。それはもちろん好奇心や興味だって混じってはいたけど、終わった後の幸福感を思えばそれは些細なことだった。
    だから独歩とできなくなった俺の幸せは半分無くなったも同然だった。勃たなくなった時は本当にショックで、でも独歩が俺の気持ちを大事にしてくれているのは分かったから幸せは四分の一くらいは戻ってきたかもしれない。
    寝れなくなったら大変だろ? 食べれなくなったら大変だろ? 俺にとっては独歩とセックスできないのはそれくらい大きな出来事だった。

    * * *

    前戯が始まって一時間が過ぎた頃、一二三の体はくまなく温まっていた。これから熱いくらいになるのだが、それがどんな様だったかはっきり思い出せなくて一二三は独歩の動きに一層集中した。
    窄まりをほぐしはじめると、喉の奥がきゅうっと絞まる感じがして声が漏れると思って手を口にあてがった。だというのに漏れた出たのは熱い吐息だけで。一二三は一瞬思考が止まった。
    声の出し方が分からない。
    確か気持ちよくなったら勝手に出ていたはずなのに、それが出なくて一二三は焦った。だけど、窄まりをほぐす独歩の指が今度は前立腺を押して、意思とは関係なく体が反応して腰が浮かぶ。すると火が灯るかのようにじわじわと体が熱を持ち始めて、ようやく独歩に思考を溶かされる感覚を思い出してきた。
    その時だった。緊張で会話もない、きぬ擦れくらいしか聞こえない静かな二人の部屋に、帰ってきた隣の住人が玄関のドアを閉める音が響いてきたのだ。
    それに意識を引かれて二人はハッと顔を見合わせる。そういえばアパートはこんなに音が響くものだった。それぞれで暮らしていた頃も同居を始めてからも周囲の環境が良かったのか、生活音を気にするようなことはなかった。
    「ひふみ、もしかして声出さないのって聞こえるかもしれないって気にしてたのか?」
    一二三の体は反応しているのに声を出さないのを、独歩はちゃんと気付いていた。
    「う……いや、そういうわけじゃ」
    「まあ久しぶりだから、そりゃ恥ずかしいよな」
    何故か独歩が照れて笑う。この数年そんな顔も見ていなくて、独歩の色んな表情を見損ねてきたのだと思うと、これからは時間を取り戻していかなくては。そのためには頑張って、独歩に誇れるくらいもっともっと頑張るしかないのだ。大丈夫。独歩からはもう有り余るほどの勇気をもらっているから。

    「じゃあそろそろ挿れるぞ」
    「うん。独歩ちんバキバキで嬉しい。ホントに……長い間待っててくれてありがとう」
    「こういう事できなくたって一二三のことずっと好きだから」
    「じゃなくってぇ。……んと、今まで言えてなかったんだけど……」
    と、一二三は自分の気持ちを洗いざらい吐き出した。

    「一二三……、それは、その、俺のこと……大好きってことか」
    「大好きだよ。独歩って実は俺っちの気持ちをプリンやアイスが好きって言うのと同じくらいの好きだと思ってる節あるだろ」
    図星だったのか独歩はぐっと唇を噛んで返す言葉もないようだった。
    「世界で一番、誰よりも何よりも独歩が好き…………愛してるよ」
    言い表せられないくらいの大きな気持ちだったけど、それでも声に甘くしっとりと含まれてきちんと独歩の耳に届いた。
    薄暗がりの部屋に涙を含んだ一二三の瞳がキラリと光る。悲しい涙を流し続けてきた。この先また何度だって泣くのだろう。でもそれは全部嬉しい時のもににするんだ、と一二三は心にそう誓った。

    * * *

    いざ挿入しようと、独歩は自分の切っ先を一二三の窄まりにあてがいほんの少し押したその時、何かを忘れているような気がした。一体なんだっただろうかと考えていると、一二三の方から腰が動いて先端が窄まりの皺に刺激されて背筋がゾクゾクした。駆け上ってくる快感の強さにようやく思い出す。
    「す、すまん! あんまり久しぶりでゴムのこと忘れてた」
    持っていたとしても使いかけなんてもうだいぶ前の物で使えないし、そもそも処分していた。急の出来事と久しぶりの行為でコンドームのことが頭から抜け落ちていたのだ。
    「ほんとだ、俺っちも忘れてた。いいよ、もうこのまましちゃお」
    今は離れなくないと言わんばかりに、一二三の腕が伸びて独歩を抱きしめた。まだ汗もかいていないサラサラの背中を滑り降りて独歩の腰を捉えてグッと自分に引き寄せる。一二三も腰を上げると、独歩によってふわふわに解された窄まりはすんなりと独歩を受け入れた。
    「バカっ……腹壊すかもしれないのに」
    「知ってるよ。そうさせたくない独歩の優しさも分かってる。だけどお願い、今は、今は……早く独歩を感じさせて」
    四年分感じられなかった幸せを、一分一秒でも早く思い出したい。
    ぬちゅっとぬかるんだ音を立てて独歩が入ってくると、圧迫感で大きく息を吐き出した。



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