おめでとう 隣で眠る幼い顔を見ているとほっとする。
今日は特別な日だから、日付が変わった瞬間にその言葉を伝えたかった。
それなのに、この子は22時には布団に入って、穏やかな寝息を立てていた。朝からハッスルしたし無理もないか。
カーテンの隙間から薄い青い光が差し込む時刻。隣の子を起こさない様にベッドを抜け出した。
音を立てない様に扉を閉めて、キッチンへ向かう。
キッチンは昨夜、彼が綺麗に片付けてくれた時のままだ。一緒に住み始めてしばらく経つのに、生活に彼がいることを感じると、その都度嬉しくなる。
『一番最初にお祝いしたくて』
僕の誕生日の時も、彼は一緒だった。
誰かがいる生活がこんなに居心地がいいとは知らなかった。実家ではたくさんの使用人が居たはずなのに、息苦しくて堪らなかった。
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