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    たすけて

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    たすけて

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    腰痛持ちアラフィフとお見舞い探偵の新茶ホム

    症例 三枚ほどの袋を持って、廊下を突き進む。サーヴァントの住居となっているフロアへ移動する。不本意ながら、度々訪れている部屋の前へとたどり着く。自室の次ぐらいには入り浸っている有様だ。
    全くもって嘆かわしい事実だ。
    「教授」
    自動扉を許可なく開き、中へと入る。背後では扉が閉まる音がする。
    お目当ての人物はベッドへとうつ伏せで突っ伏している。靴音を響かせながら近付く。そのまま頭上の辺りに持ってきた袋をばら撒く。
    「部屋に戻ると言ったら、ついでだからと頼まれたものだ。キミと私の部屋は隣同士だから、理には叶っているね。不愉快ではあるけど。動けないほど痛いのかな? ふむ、同郷のよしみで手伝ってあげようか?」
    わざと不愉快になるようにペラペラと喋れば、蚊の鳴くような声で「うるせぇヨ……」と返事があった。
    見慣れたシャツを捲りあげ、教授の頭上に放っておいた袋の封を切る。
    「キミ、そんなに腰が悪かったのかい?」
    「……お前、ホントうるさい」
    ペリペリとフィルムを剥がし、腰へと貼り付ける。メントールの独特の匂いがする。
    拗ねたように彼は一度も顔をあげない。ようやく、ああ……と思い至る。
    「そう言えば、打ち付けていたね」
    腰、と言えば彼の体がピクリと反応する。ふふ、と笑みを漏らしわざとらしく湿布の上から腰を撫で付ける。
    「キミは私で構成されてるね」
    ぐるりと視界が回り、ベッドへと体が縫い付けられる。手で口全体を押さえつけられ、体は彼が乗り上げている。全体重を掛け、私の体は押さえつけられる。彼を見上げるとその瞳は私への憎悪で満ちている。
    「黙れと言ったはずだ、シャーロック・ホームズ」
    敵意を、殺意を隠さず、その瞳に載せたまま彼は続ける。その殺意が心地よく、目を細めて、教授へと微笑みかける。
    「……相変わらず破綻してるな」
    口元を押さえていた手が離れ、ゆっくりと首へと伸ばされる。手袋を外した彼の手は驚く程、冷えきっていた。
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