Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    たすけて

    @__qqkko

    お楽しみくだせぇ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 23

    たすけて

    ☆quiet follow

    ハロウィンネタの新茶ホムです〜✌️

    拘泥手紙はもうすぐハロウィンだよ、我が弟と言う文で締めくくられていた。自身以外に読む人間がいれば、大変困る内容なので蝋燭の火で燃やす。パラパラと灰と化し、兄の手紙は消えていく。
    死を偽り、かの教授の残党を処理し続ける私への気遣いだろうか。
    この生活もいつか終わりを迎える。安全を確保出来れば、私はあの霧の街に、彼の元に帰るのだ。
    「死者の魂が戻ってくる、ね」
    ならばあの男の魂も戻ってくるのだろうか。あの滝壷へと消えていった男。私を最も楽しませてくれた男。私の運命。
    「……」
    馬鹿馬鹿しいとカウチに横になり、瞼を閉じる。
    あの男を殺したのは、紛れもなく私なのに。


    夢を見る。夢を見た。霧の街を目まぐるしく駆け巡る彼との冒険の思い出。僕の親友。必ず守ると誓った。いつかキミの元へ帰る。それだけが僕の――。
    「許さない」
    鮮やかな青い蝶に囲まれ、彼の姿が視認できなくなる。穏やかな日々は消え去り、あの瀑声に支配される。
    「私の全てを奪って、お前だけがのうのうと生き残り、幸せになるだと?」
    大量の蝶の合間から手が伸びてくる。手首を掴まれ、引きずり込まれる。ああ、この手袋は。
    「覚えていろ、シャーロック・ホームズ。我が宿命よ。どれほどの時がかかろうともお前を殺す。私は私の正しさを必ず証明してやる」
    真っ逆さまに落ちていく激しい瀑声の中で、彼だけの声が明瞭に聞こえる。
    「せいぜい束の間の幸福に浸っているがいい、名探偵」


    目が覚めれば、カーテンの外はまだ暗く、深夜だということが分かる。どれほど眠っていたのか。妙に疲労を感じ、ブランデーでも飲むかと蝋燭に火を灯す。
    「はっ……」
    手首には赤い痕が浮かんでいた。手の形がくっきりと刻み込まれている。
    くつくつ、と笑みを零し、私の手と彼の残した痕を重ね合わせる。死しても、薄れない執着が愛おしく、哀れだった。
    「ああ、楽しみにしているよ。ジェームズ・モリアーティ教授――私の運命よ」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤😭😭🙏🙏🙏💴💴💴🎃😭🙏💴💘💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works