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    tasuku

    成人済腐女子

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    tasuku

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    腐向け。アスキラ。
    アスランがコンパスにいたらifを書きました。

    キラinザフトがあるんだから、アスランinコンパスがあったっていいじゃないと言うお気持ち。妄想は自由だ。

    ヤマト隊のザラ副隊長 秘書のイングリットに連れられて宮殿内を歩くコンパス一同の耳に、金属のぶつかる音が入る。それに気を取られ、庭園に目をやると黒い軍服の数名が剣を打ち合っていた。
    「我が国の近衛師団です」
     イングリットの紹介に、中庭の騎士達を注視する。あんな装飾過多な実用性のない服で、よくあそこまで動けるものだと感心はするものの、アスランから見ればそれだけだった。
     同じ黒い制服でも随分違うなと、アスランは今自分が着ている制服を見下ろす。
     色やデザインが違うのは勿論、それが示す有り様がまったく違う。
     制服はその組織を象徴するものだ。
     アスランが纏ったコンパスの制服はザフト、連合、オーブの制服のどれにでも似ていて、どれとも違う。
     中立であり、どちらとも歩み寄るが、同一では無いことを示すものだ。
     ファウンデーションの制服は外側だけ豪華に飾り立てたハリボテのようで、滑稽ですらある。

     中央で剣を合わせている二人が何やら目配せをしているのを視界にとらえたアスランは、嫌なものを感じて僅かに眉をひそめる。
     白髪の方が深く切り込んだ瞬間に相手の剣が弾け飛び、こちらに飛んで来る。
     咄嗟に一歩前にいたキラの肩を無言で掴んで引き寄せれば、それだけでキラはアスランの後ろに下がって、その背に庇われた。
     角度、形状、速度から概算された落下予測地点はさっきまでキラの立っていた場所だ。
     つまり意図的に、それもキラのいた場所に刃を潰してない真剣を突き立てようとした。これは明確な敵対行為だ。
     眉間のシワを深くしたアスランはその場で膝を軽く落とし、反動で垂直に飛び、向かってくるサーベルの柄を爪先で蹴り上げる。
     蹴り飛ばされたサーベルは回転しながら狙い通りに持ち主の足元へと帰って行った。

    「剣もまともに握れないで、よくナイトが名乗れるな?」

     着地して裾を払った後、呆気に取られる一同を他所に、アスランはファウンデーション側に冷ややかな目と声を浴びせた。
     キラ・ヤマトの敵はアスラン・ザラの敵だ。敵に容赦などしない。
    「アスラン」
    「失礼しました」
     向こうに落ち度があるとはいえ、アスランの態度も礼儀に反している。静かにたしなめる上司のキラに従って、アスランは表面的に謝罪を口にして軽く頭を下げた。
    「いえいえ、大戦の英雄たるアスラン・ザラから見れば、我らの剣技など児戯に等しいのでしょう。ですが、我々もこの国の精鋭と自負しております。それほど仰るなら是非とも、一手、ご指南ください」
     へりくだる口調と裏腹の、溢れる自信を滲ませた近衛師団長のシュラが好戦的に微笑んでいる。長身の赤髪のサーベルをこちらに弾き飛ばした張本人だ。
     まずは一言謝ることすら出来ないのか?と嘲りながら、自分に抜き身の刀剣を差し出してくるシュラに、アスランも同じような笑顔を返す。
    「折角ですが、遠慮しておきます。生憎そのようなおもちゃを振り回して喜ぶような歳ではありません。そんな遊びは、とっくに卒業しておりますので」
     剣術のすべてを否定する気はアスランにもなかったが、現代戦では剣よりも銃。銃よりもモビルスーツが重要だ。
     携帯性に優れ、戦闘以外の使い道もあるナイフならともかく、今時長剣を振り回すなんて時代遅れもいいところだ。
     そんなおままごとじみたお遊びなんて、やりたい奴だけがやっていればいい。
     侮蔑を込めたアスランの台詞に、さすがに耐え兼ねたシュラは眉をひそめて不愉快そうにしている。
    「アスラン」
     さっきよりも強めの制止の声がかかり、アスランはキラにだけ一礼して一歩下がった。
    「うちの者が失礼いたしました。皆様はどうぞ訓練をお続け下さい」
     コンパスを代表して白服のキラが腰を折り、その場を収めようとするが、ブラックナイツはなおも敵意を向けてくる。
    「私共といたしましては、ヤマト隊長がお相手くださっても良いのですよ?」
     いやらしい笑みを浮かべるシュラの台詞には、明らかにキラを嘲る響きがある。後ろのブラックナイツも同じようにニヤニヤとキラを侮っている。
     とっくにこちらの情報など掴んでいるのだろう。
     キラ・ヤマトは白兵戦をしない。というより、出来ないと。
     元々優しい性格のキラは荒事には向いてない。正式な軍事訓練も受けていない。射撃だけはアークエンジェル時代にフラガ大佐に少し教わったようだが、それですら余程切羽詰った状況にならない限り撃とうとはしない。
    「いえ、僕は……」
     困り顔で言葉に詰まるキラに、ブラックナイツの嘲笑は深まるばかりだ。
    「このっ!」
    「やめなさいって!」
     アスランが矢面に立ってキラを庇っているからと、どうにか噛み付くのを堪えていたシンが今にも飛びかからんとブラックナイツに牙を剥いている。
     普段のキラへの懐き方から考えれば、シンにしてはよく我慢した方だ。ルナマリアが必死に腕を掴んで抑えているが、爆発するのは時間の問題だろう。
    「こんな失礼な連中を相手にする必要はありません。行きましょう、隊長」
     ここらが引き際だろうとアスランがキラの背に手をやり退出を促すと、キラも同意して頷く。
     一礼をして立ち去ろうとする背中にブラックナイツ達は懲りずに罵声を浴びせてくる。
    「隊長の癖に剣も使えねぇのぉ?ダッサァ!」
    「いえいえ、どうやらナイトに守られているようなので、隊長ではなくお姫様なのでしょうよ」
    「キャハハハ!姫ってあいつ男じゃぁん!キャハハハハ!」
     どうしてもキラを馬鹿にしたい彼らにアスランの眉間にシワが寄る。しかし、下品な奴らに付き合って、こちらの品を下げる必要も無いと冷たく切り捨てた。
    「もう我慢ならないっ!」
    「あっ!……ちょっと、シン!」
    「お前らぁっ!」
     気に障る甲高い笑い声とキラを嘲笑う声の数々に、とうとう我慢が出来なくなったシンがルナマリアの手を振り解き、肩を怒らせる。
    「やめろ、シン」
     今にも殴り掛かろうとするシンにキラが珍しく威圧的な声をかける。以前は誰にも制御不能な狂犬だったが、キラの忠犬になった今は素直に動きを止めた。
    「でも、隊長!あいつら!」
    「僕は気にしてないから、言わせてあげなよ。ね?」
    「……はい」
     微笑んで首を傾げるキラに、シンが不承不承頷く。
    「でも、僕のために怒ってくれてありがとう。シンは優しいね」
    「はい!」
     キラに礼を言われた途端にシンは嬉しそうにしている。素直なシンが微笑ましくあると同時に、俺の時とは随分な違いだな?とアスランは内心面白くなかった。
    「オイオイ、ナイトが増えてやがんぞ!?」
    「……二人がかりで守ってもらうなんて弱すぎだし」
    「守ってもらえてよかったねぇ!お・ひ・め・さ・ま!キャハハハハ!!」
    「あなた達!いい加減にしなさい!お客人に失礼ですよ!」
     ファウンデーション側で唯一まともなイングリットの制止にもブラックナイツ達は増長するばかりだ。とても軍人とは思えない。これでは以前のシン以上に躾のなっていない子供だ。
     おそらく幼少期から親や周囲にろくに愛されずに育ったのだろう。
     優秀さをひけらかすだけの鼻持ちならない傲慢さは、それ以外に誇れるものがないと言っているようなものだ。
     月にいた頃に、キラやヤマト夫妻に出会わなければ自分もそうなっていたかも知れない。アスランは多少彼らに同情した。
     だが、苛立ちのが勝っているのも事実。黙って立ち去るのは癪に障った。

    「なんだ、羨ましいのか?」

     アスランはキラの肩を抱き寄せ、優越感を隠すことなくブラックナイツを嘲笑う。
     自分から守りたいと思う者も、損得なしに自分を守ってくれる者も、こいつらにはないのだろうとあたりをつけた。
     アスランにとってのキラが、こいつらにはいない。
     だからこそ、他者を貶めて自分の優位性を保とうと必死なのだろう。

    「自分達も守って欲しいのか?それとも、自分達も守るべきものが欲しいのか?そのどちらもなくて、可哀想に」

     どうだ?お前達が欲しがっているものを俺は持っているぞ?羨ましいだろう?と見せつけるようにキラの頭を撫でる。
     ブラックナイツに同情の眼差しを向けるアスランに、馬鹿にされたと思った彼らが怒りで顔を歪めている。
     アスランの真意が見えないキラは、とりあえずこの場はアスランに任せようと大人しく腕におさまっていた。

    「図星を指されたからって、そんなに怒るなよ。器が小さく見えるぞ?」

     キラの頭をもう一撫でして、アスランはいきり立つブラックナイツを鼻で笑う。
     横着してラクスと同じシャンプーを使っているキラの髪からは、甘い花の香りがする。確かに姫っぽい部分はある。
     しかし、アスランも他の者も、キラが『姫』だから守りたい訳では無い。
     穏やかで優しいキラの側にいる心地良さをこいつらは知らないし、わざわざ教えてやるつもりもない。
     肉体的にはともかく、精神的には守られているのは自分の方だとアスランですら時々思う。
     本人は無自覚だが、キラはアスラン以外にも大勢の精神的支柱になっている。
     その柱を折られてたまるか。

    「どんなに欲しがっても、やらないぞ?お前達にはもったいない」

     この命も、体も、魂も、俺のものだ。
     無礼なブラックナイツ達は勿論、他の誰にも渡す気は無い。
     死神や運命と呼ばれるものからすらも、俺が守る。
     そう、自信と決意を込めてアスランが凄絶に笑う。
     うるさい羽虫が静まった。

    「さあ、隊長。行きましょう。シン、お前もだ。行くぞ」
    「……っ!わかってます!」
     やっと静かになった。フリーズしている馬鹿共が再起動する前にこの場を去ろうとアスランは少し強引にキラの背を押して歩き出す。何故か一緒になって固まってるシンにも声をかければ案の定喧嘩腰で応えられてアスランは苦笑しかない。
     どうにも相性が悪い。嫌われている訳では無いらしいが、アスラン相手だとシンの生来の負けん気が強く出てしまうらしい。


     ブラックナイツ達と別れてファウンデーションの荘厳な廊下を歩くキラは、何やら釈然としなかった。
     なんだろう?なんかムカつく。
     よくわかんないけど、ブラックナイツとのいざこざをアスランが何とかしてくれた。何がどうなったのかはキラはわかりきってない。おそらくアスランの迫力勝ちだろう。アスラン怒ると怖いから。
     まぁ、それは良い。対応をアスランに任せたのは自分だし、アスランに任せておけば大体のことは何とかしてくれる。
     だけど、何となくイラッとしたキラは隣を歩くアスランのすねに向かって蹴りを放った。アスランはそれを当然のように見向きもせず避ける。まぁ、アスランだし。そりゃ避けるよね?とは思うけど、更に苛立ったキラは二度三度とアスランのすねを狙う。
    「あの、隊長。……おやめ下さい、隊長。…………キィラァ!!」
     避けても避けても、なおもしつこくアスランに蹴りを入れてくるキラの子供じみた行動に、努めて部下として振舞っていたアスランの外面が剥がれ落ちる。
    「いいじゃん!大人しく蹴られてよ!とりあえず一回蹴らせてくれればいいのに、君が避けるから!」
    「なんでだよ!」
    「なんかムカつくから!」
    「理由になってない!だいたいお前は!すぐ面倒なことを俺に押し付けて!甘ったれるな!そのせいで俺がどれだけ苦労してると思ってる?」
    「アスランだって!君がしょっちゅう僕をエスコートするから、僕、ザフトでも『姫』とか呼ばれてるってディアッカから聞いたんだからね!?君の所為で僕、最近エスコートするよりされる方に慣れてきちゃったんだけど!どうしてくれるの!?」
     タラップや段差の前でアスランがあまりに自然に手を差し出して来るので、キラもうっかりその手を握っていたが、よく考えるとおかしい。
     アスランがキラの手を引いて歩いてたり、肩や腰を抱いていても、もはや誰も驚かない。
    「上官に対する敬意を示しているだけだろ!?」
    「じゃあ、今までの上官全員にやってたの?」
    「そんなわけないだろ?」
     アスランはこれまでの上官、例えばクルーゼ隊長の手を引いて歩いているところを想像して、「無いな」と思った。相手が怪我をしていて介助が必要な場合でもない限り、アスランが他の男の手を引くことは無いだろう。
    「ほら!やっぱり!……本当は僕のこと馬鹿にしてるんでしょ!?」
    「なんでそうなる!」
     滅多に声を荒らげることの無いキラが、アスラン相手だと子供のように口喧嘩をしている。
     最初こそ驚いたが、今ではコンパスでも日常になっている光景だ。
     微笑ましく見守る一同の中で、シンだけが二人の気の置けない間柄を悔しそうに見ていた。
    「あー、おふたりさん。仲がよろしいのは大変結構なんだが、夫婦喧嘩はよそでやってくれんかね?一応仕事中よ?今」
    「「夫婦喧嘩じゃありません!!」」
     茶化してくるフラガ大佐にアスランとキラが同時に振り返れば、反論の声が被る。
    「ほら、息ぴったり。その調子でミケール捕縛も頼むよ!さあ!行った行った!」
     フラガ大佐にバシバシ背中を叩かれながらアスランとキラは顔を見合わせて苦笑する。
    「大佐には敵いませんね」
    「ね?」
    「そうだろう、そうだろう。もっと尊敬してくれちゃって良いんだぞ?」
    「でもおっさんっすよね?」
    「なんだと、シン!この野郎!兄貴かお兄様と呼べ!」
    「あははは」
     軍ほど上下関係が厳しくない所為もあって、コンパスは人間関係がとても良い。
     だからこそ守りたいし、そのため戦う。頼もしい仲間と共に。
     最強で最高な親友という一番の味方がすぐ側にいる。これ以上心強いことは無い。
     もう敵対する必要は無い。この先はずっと手を取って歩いて行ける。そう思えば、二人の足取りも軽くなるというものだ。 
     宛のない旅路の羅針盤はすぐ隣にあった。


     その頃、庭園に取り残されたブラックナイツ達は理由の分からない敗北感を覚えていた。
     生まれて初めてと言っていい感情だった。
     邪魔なのはキラ・ヤマトだけだと思っていたが、アスラン・ザラの方がよっぽど邪魔だ。生かしてはおけない。
     二人とも絶対に殺す。悠々と去って行った背中をシュラ・サーペンタインは睨みつけていた。
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