風邪をひいた受けを看病する話「えっ、ウルフウッドが熱だしたって?」
起き抜けにもたらされた思いもよらないニュースに僕は驚いて素っ頓狂な声を上げた。そういえばダイナーにウルフウッドの姿がない。焦ってきょろきょろと店内を見渡せば、メリルに袖を引かれ窘められた。
「ヴァッシュさん、声が大きいですわよ。お静かに」
彼女の言う通りだ。急いで「ごめん、びっくりしちゃって……」と声を潜めて謝った。朝食の手を止め、または新聞の文字を追うのをやめてこちらを迷惑そうに睨むいくつかの視線に謝罪の笑みを浮かべて、ぺこぺこと頭を下げながら記者の二人が座るテーブルに僕もまた腰を下ろした。
「どういうこと? あんなに頑丈そうなのに?」
昼間の灼熱の砂漠でも、凍えるような夜でもシャツとジャケット一枚で過ごすような男だ。体調不良の姿が想像できなくて、隣に座るロベルトに説明を求める。
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