Fragileその日も昨日と変わらず、嫌気がさすくらいの真夏日だった。
テスト前最後の授業が終わり、教室の中はそれぞれまばらに行動をとっていた。
クーラーの効いた教室でだらだらと駄弁る者、足早に帰る支度をする者といる中で、浮奇もまた帰宅への準備を進め、イヤホンを取り出していた。
「浮奇ー」
自分を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと、鮮やかな黄色の男が廊下で手を振っていた。
「サニー、どうしたの」
「数Ⅱの対策プリントって持ってたりしない?昨日配られたやつ」
失くしちゃって、と申し訳なさそうにサニーは笑う。
「あー、ちょっと待って…確かあるはず」
鞄の中身を探り、ノートに挟まれたプリントを取り出す。帰宅後に解こうとしていたので、丁度真っ白の状態だ。
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