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    syoukyakur0

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    syoukyakur0

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    モブ視点です
    五夏のつもりで書いてますが、カプ要素めちゃくちゃ薄いので雰囲気でお楽しみください

    また、投稿主は五夏五の人間ですので抵抗のある方はそっと閉じていただくようお願い申し上げます

    #五夏
    GoGe

    『新しい沼ができた』 レストルームの化粧鏡で念入りにチェックする。今日はベストコンディションでなければいけない。朝から顔パックしたし、いつもの倍かけて化粧したし、美容院ばりのヘアセットもした。移動して全面鏡でおろしたての服も変なところがないか見る。よし、大丈夫そうだ。
     
    「ごめん、待った~?」
    「まだ待ち合わせ時間前だから気にしないで! それより今日かわいいね」
    「本当!? ありがと~!! 席結構前だったから、わんちゃん見てもらえるんじゃないかって気合い入れちゃった」
    「ファンクラブ様々だよね~。チケットの発券は済んでるからパネルの前で写真撮らない?」
    「賛成!!」
     公開中のものから近日中に上映予定のものまでずらっと並べられた宣伝用ディスプレイの中に私たちの推しがいた。作品名と今日の日付をそれぞれ指差して自撮りをする。デビューして数年で主演だなんて、担当として誇らしい。推しくんのキャラクター的に、てっきり王子様系の役だと思っていたので泥臭い刑事役だったことには驚いたが、ラブシーンがないなら私たちの心も平穏でいられるし、是非ともいろんな人に映画館に足を運んでもらいたい。
     
    「お待たせ致しました。只今より、一〇時一五分より六番スクリーンにて上映致します『(作品名)』をご覧のお客様の入場を開始致します。チケットをお持ちの上、劇場入口までお越しください。」
     
     いよいよだ。私たちは飲み物だけ買って、劇場内に入った。席は前から四列目の右寄り。
    「緊張してきた」
    「私も」
     ここから各作品の予告映像が流れて、映画泥棒が流れて、上映中の案内が流れるので、あと一五分くらいあるのはわかっているのだが、ドキドキは止まらない。
     
     ***
     
     エンドロールが流れ、照明がつく。大どんでん返しがあって、この衝撃を友達と語り合いたいのに、スケジュールがそれを許してくれない。
    「本日はご来場いただき誠にありがとうございます。このまま公開記念舞台挨拶に移らせていただきます。司会を務めるのは●●●●●です。どうぞよろしくお願い致します。それでは、キャストの皆様、ご登壇ください」
     歓声と拍手の中、推しくんが登場する。あーん今日も顔がいい! 天才!! 続いて同じく刑事役の人が何人か、犯人役だった五条悟、最後に監督が壇上に上がった。ちょうど私たちの正面に立っているのが五条悟、本当に綺麗な顔だな。これが造形美ってやつか? 推しくんはかわいい系だけど、五条悟は美しいって感じだ。てか脚なっっが!! 身長のほとんど脚だったりする? いや首も長いな、なんだこれ。これで芸人とか冗談。出てきたときの歓声が大きかったから彼目当ての客も多いんだろうな。
    「まずはお一人ずつ感想をお願いします」
     いけないいけない、推しくんに意識を戻さなきゃ。最初はトークセッションか。初主演の重みに触れながら、座長として完走できた喜びを伝える顔がとってもかわいい。頑張り屋さんなんだよね。共演者との裏話大好きなやつだ、ありがとうございます。あ、きっと今の顔はネットニュースに使われる。
     
    「ではここで、サプライズゲストの登場です」
     誰だろう、もしかしてメンバーだったり……!? 流石にないか。
     現れたのはお団子頭にスーツの……
    「皆様こんにちは、祓ったれ本舗の夏油傑です」
     そっちか!! 隣のお姉さん泣いてるじゃん、祓ったれのファンだったんだ。でも何でだろう。
    「夏油さんはこの作品のナレーションを担当されてたんですよね。エンドロールで気づかれてた方、いらっしゃいましたら手を挙げてください」
     前方に座っているから会場でどの程度手が挙がっているのかはわからないが、お姉さんは気づいてたみたい。ちなみに私も友人も全然気づいていなかった。
     夏油は当然のように五条の隣に行った。別に移動する必要無かった気もするけど、コンビだしそういうもんか。なんかそこだけ距離キュッてなってるけどコンビだしね。
    「えー声だけの出演の私がここに並ぶのはどうなんだ? という気持ちもありますが、そこは名演技をした相方に免じて許してください。あと本人の口からは言わないでしょうから暴露させていただくと、私が悟の練習相手になったりしてたんですよ」
    「俺天才タイプってことになってるんだから影の努力とか言うなよ、営業妨害だぞ」
    「今回はこの無駄にいい顔面をフルに活用した役どころでしたが、御覧になった皆様はお分かりの通り難しい演技もありましたからね。結構苦戦してたんですよ」
    「おい!! それ以上言うな」
    「貴重お話をありがとうございます。やはり祓ったれ本舗のお二人は仲良いですね。さて、続きまして写真撮影のお時間です」
     なんだろう、私はヲタクだからわかってしまう。夏油、ぜっっっったいにマウントなんだよな~~~~。あと多分、私ら推しくんのファンに対しての牽制も入ってる。確かに少しだけ、ほんの少しだけ、推しくんより目立つなって気持ちもあるけど、でもだからといって五条悟にヘイト向けたりしないって。
     
     推しくんが持ったパネルを囲む形で演者が集る。アイドルスマイルだ!! その笑顔で世界が救われます、ありがとう、ありがとう。ネットにアップされたら拡大して見なきゃ。
    「次は、会場の皆様も一緒に撮影させていただきます。顔を映したくない方は手などを使って隠してくださいね」
     ばっちり整えてきたので、前髪を整える程度で撮影を待つ。キャストも私たちの方に背を向け……あれ? えっと、正面の五条悟が夏油傑の腰を……抱いている……? いや言い方が良くないな。支えてるんだよ、うん。……は? 成人男性の中腰を支えるってなに?? やっぱりここだけ距離近すぎるのよ、推しくんのグループも大概距離近いけど、ここまでではないぞ。横目で恐らく夏油推しのお姉さんを確認すると、目を見開いて深呼吸していた。うん、そういうことだよね。スペキャ顔不可避案件。
    「では撮りますよー、はい、チーズ」
     なんとか直前で顔を取り繕うことができた。
     
    「早いものでもうお時間になってしまいました。最後に一言ずつお願いします」
     せっかくの推しくんの挨拶が全く頭に入ってこない。おいどうしてくれる祓ったれ本舗。きっとネット記事で書き起こし全文が見られると信じて、話してる顔だけでも目に焼き付けよう。
     
    「舞台挨拶は以上となります。本日はありがとうございました」
     降壇を拍手で見送る。礼儀正しくお辞儀して、完全に捌ける前にひらっと手を振ってくれる推しくん、大好きだよ~!! ファンの欲目なしに面白かったから大ヒットしてほしい。
     まって? 待ってる二人、いちゃついてない? 夏油がちょっとかがんだ五条に耳打ちしたあと目を合わせて笑い合ってるだけといえばそれだけだけど、さっきの一件もあっていちゃついてるようにしか見えないんだって。
     
     最後に司会の人も退場して、観客全体に退場のアナウンスが流れた。友人がこちらを見る。
    「やばかったね」
    「やばかったわ」
     とりあえず外に出ようと考えが一致したので、ポップコーンの匂いに空腹を刺激されながら映画館を後にして、ランチを予約しているお店に向かう。
     
     ***
     
     席に通され、注文を終えたらお楽しみタイムである。
    「あそこの場面よかったよね」
    「まさかあれが伏線だったなんてね」
    「途中まで絶対●●さんが犯人だと思ってた」
    「推しくんの泣き顔、正直萌えた」
     エトセトラ エトセトラ。作品について一通り語り合った私たちの話題は舞台挨拶に変わっていった。
    「あの、興味なかったらごめんだけど、祓ったれ本舗の話してもいい?」
     恐る恐る切り出すと「私も話したかった」と真顔で承諾してくれた。
    「勘違いだったらアレなんだけど正直、審議! なものがあったと思うのですが」
    「私もそう思います」
    「特に五条悟が腰を」
    「抱いてたよな」
     食い気味で反応されて安心した。
    「そういえば、祓ったれ本舗ってSNSとかやってんのかな」
     Twitterを開くと、フォロワーがRTした舞台挨拶記事が目に入る。仕事はやいな。リンクに飛んでザッと目を通すと、最後の挨拶以外もほとんど書き起こされていた。有り難い。画像一覧も確認すると数は少ないものの祓ったれの二人のものもあった。
    「ねえ、ちょっとみてこれ」
     
     [写真右:相方 夏油傑の登場に喜びを隠しきれない五条悟]
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    syoukyakur0

    DONEモブ視点です
    五夏のつもりで書いてますが、カプ要素めちゃくちゃ薄いので雰囲気でお楽しみください

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    『新しい沼ができた』 レストルームの化粧鏡で念入りにチェックする。今日はベストコンディションでなければいけない。朝から顔パックしたし、いつもの倍かけて化粧したし、美容院ばりのヘアセットもした。移動して全面鏡でおろしたての服も変なところがないか見る。よし、大丈夫そうだ。
     
    「ごめん、待った~?」
    「まだ待ち合わせ時間前だから気にしないで! それより今日かわいいね」
    「本当!? ありがと~!! 席結構前だったから、わんちゃん見てもらえるんじゃないかって気合い入れちゃった」
    「ファンクラブ様々だよね~。チケットの発券は済んでるからパネルの前で写真撮らない?」
    「賛成!!」
     公開中のものから近日中に上映予定のものまでずらっと並べられた宣伝用ディスプレイの中に私たちの推しがいた。作品名と今日の日付をそれぞれ指差して自撮りをする。デビューして数年で主演だなんて、担当として誇らしい。推しくんのキャラクター的に、てっきり王子様系の役だと思っていたので泥臭い刑事役だったことには驚いたが、ラブシーンがないなら私たちの心も平穏でいられるし、是非ともいろんな人に映画館に足を運んでもらいたい。
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    mikanjellylemon

    MAIKINGWebオンリー仙才鬼才の展示です

    主催者様・参加者様全員に感謝🙏🙏🙏

    本当に書きかけなので、当日も追加していく予定です!
    『ねぇ、僕のこと見て……やっと目が合ったね。』
    「キャーーー!五条悟!!!本当にやばい!」
    「マジで王子様!!」
    「かっこよくて死んじゃう!」

    今をときめくイケメン俳優、様々な恋愛ドラマ・映画において主役級の役を掻っ攫っている男。身長191cm、白髪碧眼、17歳。あまりの美貌から、本物の王子様と呼ばれている。撮影外でも"王子様"は継続され、共演者からの信頼も厚いという。本人がバラエティには殆ど出たことがないことがまたミステリアスだと人気が出ている始末。


    〈傑〜明日モンハンしに行っていい?〉

    普段なら、必ず返ってくる返信が三日、滞った。

    〈私は生きる道を決めた。〉

    その日、傑は悟の世界から消えた。
    傑は今、撮影しているドラマもないようで、局ですれ違うこともなかった。ただ、過去に撮られたバラエティに傑の面影が映るだけ。それが、本当の姿ではないことを、悟は一番理解していた。

    「なんで、居なくなったんだよ……。」

    傑、傑、グズるように呟いて、一緒に遊んだゲーム、傑から貰ったアクセサリー、傑の思い出を掻き集める。

    それでも日々働かなければならない。僅かでも関わりのある世界を辞め 2265

    にし乃

    DONE夏♀と喧嘩した五の話です。夏が某お煎餅を好きというのは完全なる捏造。
    短いのでおやつ感覚で、何でも楽しんで下さる方のみどうぞ!相変わらず拙いものですが、私も五夏のフェスティバルに参加したかったので。
    俺の誠意とお煎餅傑と喧嘩した。
    きっかけは確か、俺が窓のババアにきちんと挨拶をしなかったからとか、そんな些細なこと。
    「挨拶くらい幼稚園児でもできるよ」って呆れたみたいに言われて、頭にきて「庶民」とか「ブス」とか「変な前髪」とか色々言い返した。
    気付いたら傑は目の前からいなくなっていて、取り残された俺は夜蛾センからゲンコツを食らったのだった。

    「くっそ……。」

    一晩経ってもイライラが消えてなくなることはなく、俺は八つ当たりみたいに教室の扉を乱暴に開けた。
    三つ並んだ席のその真ん中で、傑は涼しい顔をして携帯をいじっていた。中学時代の知り合いとでもメールをしているのだろうか。そう思ったら、胸がモヤモヤムカムカした。
    俺はわざと音を立てて、自分の席にドカッと座る。いつもだったら俺に気付けば「おはよう」と言ってくれるのに、傑はこちらを向くこともなかった。挨拶をきちんとしろって昨日言ったのお前だろ、と思ったが、こちらから話しかけるのは負けた気がして俺も黙ったままだった。
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