特別な日、特別な人特別な日、特別な人
手元に残る沢山のお祝いの言葉と沢山のプレゼント、食べきれないほど料理は見事に無くなり、巨大なケーキも欠片一つ残っていない。
ニキは寂しくなったESの誕生日会場に佇んでいた。
「誕生日、あんまり好きじゃなかったんスけどねぇ………」
ぽつり、感慨深そうに呟いた。
幼少期、椎名ニキの誕生日と言えば日常と変わりなく経過するただの日付けと同じだった。
変わりがあるとすればいつもはセールスばかり録音されている留守番電話に両親の誕生日おめでとうの言葉が録音されていた位である。
それもニキにとっては悲しくなる一因でしかなかったのだが。
どれだけお祝いの言葉を貰っても家に帰れば1人で、祝ってくれる人は居ない。
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