自分だけ声が聞こえる話(🦊)※一部👹視点あり
夢をみた。
ここはどこだろうか。
波の音が聞こえる。そして声が…。
『_____ 』
🦊は最近悩んでいることがある。
それは自分だけにしか聞こえない声だった。何かに呼ばれるような声がするが、誰に話しても聞こえないという。
最近探偵の仕事や配信の予定を沢山溜めていたから疲れているのだろうか。
探偵事務所にいた🦊は
「今日は早く終わりにするか…」
そう呟くと、溜まっている資料を片付け事務所を閉めて家に帰った。
「ただいま〜」
家に入った瞬間、とても美味しそうな匂いがした。
それと同時に、
「おかえり、ミスタ。」
と声がした。
それは彼の恋人、👹であった。
「Daddy!今日のご飯何?」
「今日はパエリアだよ。ずっと食べたいと言っていただろう。」
「よくそんなの覚えてたね!」
「愛しいミスタのためだからな」
流石の🦊も照れてしまった。そんな🦊を見て笑い、頰にキスをしご飯を食べようと声をかけた。
食後___
「美味しかった!」
「それは良かった。お風呂沸かしといたから先に入るといい。」
「わかった行ってくるね、Daddy」
「あぁ、いってらっしゃい。」
そういうと、🦊はバスルームへ向かった。
しばらくお湯に浸かっていた🦊。そろそろ出ようとしたときだった。
『おいで』
「…ヴォックス?」
👹がいると思い声をかけたが、反応はない。気のせいだろうか。
『こっち、こっちだよ。こっちにおいで』
よく耳を澄ますと自分の入っているお風呂から聞こえたのだ。
すると、
『潜ってみて、きっと気にいるよ』
そう言われて息を思い切り吸って潜ってみた。
すると、何かどこかの世界に繋がったような青く綺麗な不思議な場所が見えた。
潜る前は何もなかったのに。
もう少しだけここを探索してみたい。ここはどこなのか探りたい。そう見入っていく。呼吸をするのも忘れて。
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🦊がなかなか帰ってこない。
バスルームまできて一声かけてみた。
「ミスタ、大丈夫かい?」
だが返事はなかった。不審に思った👹は勢いよくドアを開けた。
一気に血の気が引いた。愛しい🦊が水面に顔面をつけたまま動かないでいる。
「ミスタ!」
急いでお風呂から出し、タオルを体に巻いてベッドに連れていった。
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また夢を見た。
またあの青い綺麗な場所。
またこの場所に来れたことに嬉しみを感じていた🦊。
そんな中、青に紛れて赤い何かが見えた。それは赤く輝いたクリスタルだった。
まるで👹みたいだ。
引き込まれるような感覚がしてそのクリスタルを触ろうとした。
手に感触があった。
目を覚ますと👹が🦊の手を握ってる。
目を覚ましたことに気づいた👹は、
「ミスタ!目が覚めたかい?」
「ヴォックス?」
「よかった。なかなか出てこないから呼んでみたんだ。返事もしないから心配になってドアを開けたら水面に顔をつけたまま動かないお前がいたんだ。」
そう言って🦊を抱きしめた。
🦊は不思議に思いながら👹の背中に手を回し抱きしめた。
「今日はもう眠いだろう。ゆっくり休むといい」
そう言われ、瞼が重くなった🦊は眠りについた。
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いつもより早く起きて🦊は顔を洗おうと洗面台に行った。
水を溜めている時、また声が聞こえた。
『おいで』
「お前は誰なんだ?なんで俺にずっと声をかけるんだ。」
『ミスタ』
「ヴォックス⁉︎…なんでっ…」
『ミスタ、こっちにおいで』
👹に声をかけられ顔が水面に顔がつきそうになったところでグイッと肩を引っ張られた。
「ミスタ、寝ぼけているのか危ないぞ」
さっきの声。そこに立っていたのは👹だった。
「あれ…なんでヴォックスがここに?さっきまで…」
「なんのことだ?その水面の中に私が入っても無理がある。」
👹は少し笑い、🦊のおでこにキスをし、朝食を作りに部屋を出た。
そして2人はお互いお昼から配信があり、各部屋へ行った。
🦊の方は先に配信が終わり背伸びをした。👹はまだ配信が終わってないようだ。
✒️と🦁に電話しようとdiscordを開く。
「Hi,ミスタ。」
「Hi,ミスタ!POOOOOOG!!」
「ハハッ、Hi,アイク、ルカ。」
「そういえばShuは?」
「依頼の仕事で不在だよ」
「POG!」
そう話しているうちに、海の話題になった。
「そういえば、用事があってここから少し離れたことにいたんだ。海が近くにあってちょうど夕焼けが凄くて動画撮ったんだ。」
そういうと、動画を再生した。
波の音、綺麗な夕焼け、その夕焼けに照らされ海面がキラキラしている。
それをみた🦊は何か胸騒ぎがした。
すると、
『私たちはここにいる。ここへきて』
そう声が聞こえた。
すると🦊は立ち上がり、
「行かなきゃ」
そう言い残しふらりと通話画面から背を向け歩いていった。
「Hey,ミスタ。どうしたの?」
✒️の声掛けにも応えず、ガチャンッと玄関が閉まる音だけが聞こえた。
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ようやく配信が終わった👹。
部屋を出て🦊の様子を見に部屋を開けた。
しかし、そこには🦊はいなく、通話だけが繋いであっただけだった。
通話相手は✒️と🦁。
「アイク、ミスタはどこだ」
「ヴォックス!よかった。ミスタがいなくなっちゃったんだ」
「詳しく話してくれ」
「俺たち最初は普通に話してたんだ。だけど、俺が仕事に行った場所の動画を見せたら”行かなきゃ”って呟いて家を出てっちゃったんだ」
「何かに誘導されてるような感じじゃなかった?」
「さぁ?俺にはそんなふうには見えなかった」
「とにかくヴォックス!ミスタが出てってそんなに時間経ってないと思うんだ。」
「あぁ、そのつもりだ。その動画の場所はどこなんだ」
「ここから少し離れたとこだよ。俺たちも後から行くよ!」
「わかった、ありがとう。」
そう言って通話を切った。
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気づいたら🦁が紹介してくれた海にいた。相変わらず、海の主から声がする。
『おいで』
このまま声の主についていけば、あの時手に入らなかったあの👹のような赤いクリスタルが手に入る。
でもあれは違う。あれは誰なんだ。
誰の声だ。誰が俺を誘導してるんだろ…。
そう心と頭とで戦っていた。
すると、
『ミスタ、来ないのか』
そこにはいるはずのない👹がいた。
『さぁ、おいで。一緒に行こう』
「うん」
👹と一緒に行けば怖くない。きっと。
ズンズンと進んでいくと何故だか足が重くなる。けれど👹に追いつきたい一進で🦊はそんなことはどうでもよかった。
もう少し…
あともう少し…
そうVoxに手を差し伸べた。
すると後ろから左手を掴まれた。
後ろを振り向くとVox。
前にいたはずのVoxはと前は向くがそこにはVoxの姿はなかった。
「帰ろう、ミスタ。」
「ヴォックス?本当にヴォックスなの?」
「俺が本物だ。寒いだろう。そろそろ上がろう」
そうだ。海の方から声が聞こえてついて行ったんだ。その時は感覚はなかったが、👹に言われ感覚が徐々に戻っていく。
異常な冷たさに体がびくりとし、重かった足の力が抜ける。
崩れ落ちた👹は🦊の腰に手を回し、支えた。
「ミスタ、大丈夫か?」
「ごめん、ヴォックス…なんだか…眠く…」
👹と出会えたことで安心したのか疲れがドッと来て🦊は眠りについてしまった。
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「君は我が恋人に手を出した。許されないことだ。今すぐ消してやる」
👹は鬼の力で手から黒い炎を出し、海に潜む者を燃やした。
海に潜む者最後に、
『…彼は赤いクリスタルを選んだ。よほどお前を大事にしているようだ。私はお前達が羨ましかった。お前に恨まれても仕方がないな。…ははっ』
そう話し、黒い炎と共に消えて行った。
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🦊は夢を見た。
手に重みを感じた🦊が持っていたのはあの赤いクリスタルだった。
その赤いクリスタルを思い切り抱きしめて
「ヴォックス…」
と呟いた。
すると、赤いクリスタルは変化をし、彼の姿へと化した。
『行きなさい、ミスタ』
その瞬間とても大きな光が🦊を包み込んだ。
🦊が目を覚ますと、天井が見えた。
知らない天井。
🦊は病室に運ばれたのだった。
すると一つの影が🦊の顔を覗き込んだ。
「ミスタ、僕がわかる?」
「…シュウ?」
その声を聞いた🦁と✒️が大きな物音と共に🦊の元へ駆け寄り、
「ミスタ!通話中に居なくなるからびっくりしたんだよ!」
「無事で何よりだよ。ヴォックスに感謝しなきゃね」
といい、一安心したのかお互いハグをしていた。
「俺ヴォックス呼んでくるよ」
少し早歩きで部屋を出て行った✒️。
しばらくした後、👟は口を開いた。
「起きたばかりなのにごめんね。あの時ミスタは何を見たの?何故海なんかに入って行っちゃったの?」
寝起きだからなのかあまり頭の回転が遅かったが、しばらくして
「…声が聞こえたんだ。何日にもわたって俺を呼ぶ声が聞こえた。」
「それはどこから?」
「最初は声だけしか聞こえなかったから分からなかったけど、お風呂から聞こえた。…その次は洗面器の溜まった水の中。最後は海だった。」
そう言うと👟は頭の抱えた。
ブツブツと1人で呟き立ち上がった。
「ありがとう、ミスタ。無事に戻ってきて何よりだよ。頑張ったね。」
🦊の頭を撫でながら言った。
「でも本当にびっくりしたよ。どうやって俺が行った海のとこまで来たんだ」
と興味津々に聞いてきた。
しかし、🦊は✒️と🦁と通話したとこから記憶が曖昧でその後何が起こって海にいたのか。何故自分が病室にいるのか分からなかった。
そうしている中、👹を呼びに行った✒️も👹も🦊の病室に着き、
「ミスタ!目が覚めたのか!」
と駆け寄り、🦊を強く抱きしめる。
「くっ…苦しいよ、ヴォックス…」
苦しくてたまらなったが、何故か自然と涙が出てきた。
なんの理由もなく出た涙は👟が拭き取ってくれた。
そして、🦊を囲むように残りの3人もハグをした。
頑張ったね、ミスタ。