焼け爛れた名前「やぁ、先日ぶりだね、ヘルメス」
強く真っ直ぐに、焼き尽くしそうな瞳だといつも思う。閃光のような、焔のような瞳を少し細めてアゼムは微笑んだ。アーモロートに帰還した彼女へ連絡が間に合い、次の調査地へと旅立つ前にエルピスへと呼ぶ事ができた。
「忙しい所すまない、アゼム」
「いや、いいんだ。早速だが私の使い魔の元へ案内してくれるだろうか」
ヒュペルボレア造物院内で見つかった使い魔の遺体。その使い魔はアゼムの使い魔を名乗っていたが為に他の魔法生物達と同じ様に土塊に還す事もできず本人を呼ぶ事となった。
「そう、この子が、」
小さな獣人型の女の子。その肉はもう固くなり色はない。
「ありがとう。この子は私の方で引き取らせてもらう」
「…本当に、すまない、誰も記憶がない為に詳細はわからないのだが、おそらくあの日の事故でその子は」
エルピスの職員達が口々に語ってくれた使い魔。よく手伝い、聡明で、不思議な生き物。きっとあの日も共にいた。メーティオンとも、ヘルメスとも親しかった。それなのにその記憶は焼け爛れて、真っ白い光の中で、何も、何も思い出す事はできない。ただ心に残るのは痛みと後悔や苦しさだけで、その生き物を見る事すら苦しくなる程で。
「真実がわからない以上、謝罪は受け取れないよ」
小さな身体を布で包み、アゼムは使い魔の遺骸を抱き上げた。
「忙しい中、呼んでくれてありがとう。この子は私の方で丁寧に弔うよ」
その身体は本当に小さかった。何故かそれをとても愛おしいような、手放し難いものに思えて、叫びたくなった。
「もしもこの子について分かったことがあれば教えてほしい。それじゃ」
小さな身体を抱いたアゼムが踵を返す。
思わず、手を伸ばした。
連れていかないでくれと、言いかけた。
何故?
どうしようもなく吐きそうで、苦しくて、でも、声に出せなかった。出す資格がない。だって、自分は、あの子を。
あの子を、?
そう考えるとまた、あたまが真白い光の中に包まれて、両手で顔を覆った。眩しい、やめろ、なんで、こんな、感情、知らなかった、のに。
つれて、いかないでくれ、だって、そのこは。
名前を呼びたいのに、眩しくて、呼べない。
ヘルメスはアゼムを引き留めることが出来なかった。
☀️はこの件からずっと🍎を疑っていて、
🍎は🌟を連れて行かれて内心☀️に良い感情を抱いていない
という殺伐とした弊🍎と弊☀️