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    あまや

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    あまや

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    SSS/高校生の下二人
    ジュンくんがいるだけで青春が飛び込んでくる

    ##ジュン茨

    なつのはな「海とは縁遠かったので、テンション上がってたんでしょうね」

    恥ずかしそうに顔を膝の間に埋めて、茨がもごもごと釈明している。
    上二人がいる時はきちんとしている茨もオレと二人きりのときはジャージで地べたに座ったり、スマホを見ながらメシ食ったり、お腹いっぱいになってそのまま転がったりする。出かければ極たまにだけれど話題のいちごのデザートが食べられる店に連れてってくれたり、カロリーなんて気にせずラーメンに餃子をつけたり(でもあまり食べられなくて、いくつかおこぼれに預かる)変なゆるキャラを見つけると同室の子のために買ってみたりする。
    だからあの時も、二人が撮影中で気が緩んでいたのだろう。波打ち際で、打ち寄せる波にはしゃいで足をバタバタさせたり、砂を踏みしめてみたり、蹴っ飛ばして水の掛け合いっこをしたり、じっと息を殺してスナガニが出てくるのを待っていたり、そういう、たいへん子どもっぽいことをして遊んでいた。そしてそれをおひいさんに激写されていた。動画で。

    「SNSにあげないだけ感謝してほしいね、なんて言ってますけど、これ絶対脅しですよね?!」
    「オレは別にこのくらい大したことないと思いますけど」
    「そんなわけないでしょう!由々しき事態です!イメージダウンです!」

    膝を抱えたまま起き上がりこぼしみたいにこてんと転がった。でも起き上がっては来なくて、ごろごろ左右に揺れている。あーだかうーだか呻きながら本人はこの世の終わりみたいに焦っているけれど、そんなにやばいもんじゃねえと思うけどなあとオレはもう一度動画を再生した。

    『ジュン!』

    あまくとろけだしそうな声がスマホから聞こえてくる。普段のツンケンしたクールな声じゃなくて、ワントーン高い、はしゃいだ、子どもっぽい可愛い声。遠くから撮影しているから表情まではわからないけれど、オレはこの時の茨の高揚した、おっきな目をさらにおっきくしてニコニコしている顔を知っている。から、思い出してしまう。麦わら帽子に制服なんて、なんでそんなことになったのか分からないけれど可愛い格好で可愛い声で可愛い顔をした茨。

    「……やっぱ、大したことある、かも」
    「そうでしょう?!」

    がばりと起き上がった茨が嫌に必死な顔をしているところ悪いけれど、オレと茨の言ってる大したことの意味は、多分、めちゃくちゃ違う。
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    Replies from the creator

    あまや

    TRAINING習作/凪茨(主人公ジュン、下二人メイン)
    ⚠︎パラレル。アイドルしてません
    三人称の練習兼、夏っぽいネタ(ホラー)(詐欺)

    登場人物
    ジュン…幽霊が見える。怖がり
    茨…ジュンの友達。見えない。人外に好かれやすい
    おひいさん…ジュンの知り合い。祓う力がある(※今回は出てきません)
    閣下…茨の保護者
    三連休明けの学校ほど億劫なものはない。期末テストも終わりあとは終業式を残すのみではあるのだが、その数日さえ惜しいほど休暇を待ち遠しく思うのは高校生なら皆そうだろう。ジュンはそんなことを思いながら今日もじりじりと肌を焼く太陽の下、自転車で通学路を進んでいた。休みになれば早起きも、この茹だるような暑さからも解放される。これほど喜ばしいことはない。
    「はよざいまーす」
    所定の駐輪場に止め校舎へ向かっていると、目の前によく知った背中が現れた。ぽん、と肩を叩き彼の顔を覗き込むとそれは三連休の前に見た七種茨の顔とはすっかり変わっていた。
    「ひええ!?」
    「ひとの顔を見てそうそう失礼な人ですね」
    不機嫌そうな声と共にジュンを振り返ったのはおそらく七種茨であろう人物だった。特徴的な髪色と同じくらいの背丈からまず間違いなくそうだろうと思い声をかけたのだから、振り返った顔はジュンのよく知るメガネをかけた、男にしては少し可愛げのある顔のはずだった。が、見えなかったのだ。間違った文字をボールペンでぐるぐると消すように、茨の顔は黒い線でぐるぐる塗りつぶされていた。
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