死体を埋める「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
ニホンの作家の説だそうだ。桜というのは、ニホンでは国を代表するような花で、リトルトーキョーにも植えられている。あの美しいピンクの花は、死体を吸っているから、見事に、美しく咲くのだという。それが嘘か真かは関係ない。
「オスカーならさ、どこに死体を埋める?」
例えば、俺が死んだとして。にっこりと笑って、尋ねる。ピロートークには些か似合わない内容だろうか。
「死体ですか……? それは、俺が殺したってことですか? それとも、埋葬する場所の話?」
「んー、じゃあ、埋葬するとき。オスカーしか知らないの。どこ?」
じっとフェイスの顔を見つめて、数瞬前まで溶けていた瞳がもう正常に戻っていることを確認する。不思議な問いだ、とオスカーは思う。セックスの後、フェイスは時々このような問いをする。言葉遊びのような、哲学のような問い。あり得ない設定で、もしもの話ばかりだ。この間は無人島に一つだけ持っていくことができるなら何か、だったはずだ。
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