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    フェイスのおめめがぴんくだからピンクかなって思ったけどピンクじゃなかったからあほえろに入れなかったやつ。

    死体を埋める「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
     ニホンの作家の説だそうだ。桜というのは、ニホンでは国を代表するような花で、リトルトーキョーにも植えられている。あの美しいピンクの花は、死体を吸っているから、見事に、美しく咲くのだという。それが嘘か真かは関係ない。
    「オスカーならさ、どこに死体を埋める?」
     例えば、俺が死んだとして。にっこりと笑って、尋ねる。ピロートークには些か似合わない内容だろうか。
    「死体ですか……? それは、俺が殺したってことですか? それとも、埋葬する場所の話?」
    「んー、じゃあ、埋葬するとき。オスカーしか知らないの。どこ?」
     じっとフェイスの顔を見つめて、数瞬前まで溶けていた瞳がもう正常に戻っていることを確認する。不思議な問いだ、とオスカーは思う。セックスの後、フェイスは時々このような問いをする。言葉遊びのような、哲学のような問い。あり得ない設定で、もしもの話ばかりだ。この間は無人島に一つだけ持っていくことができるなら何か、だったはずだ。
     フェイスの唇に一つ、キスを落としてから答える。
    「俺は、あなたを埋めるなら……山の上に埋めます。周りは温かいといいですね。花がたくさん咲いていて、夜は星がたくさん見える場所がいいです。俺があなたが生まれ変わるのを待っていることができるように」
     一面花畑で、ピンク色の小さな花がたくさん咲いているところを想像する。オスカーは桜を見たことがある。そのとき思ったのだ。あの花は、フェイスには似合わないと。
     フェイスは、もっと強く、一輪でも立つような色香を纏う花だ。バラのように気高く、すみれのように優しく、カーネーションのように華やかだ。
    「あなたの死体が埋まっているところには、桜ではない、たくさんの花が咲きます」
     あなたの瞳の様に、美しく艶やかなピンクの花ですと言いながら瞼にキスをする。
    「うん、いいね。それに、オスカーが墓守してくれるんだ……そんな話、何かで読んだな。それもニホンの作家だったはず……忘れちゃったけど」
    「なら、きっと幸せな結末だと思います。あなたが生きて、俺を迎えに来てくれるような」
     くすくすと笑って、フェイスははぐらかす。本当は、覚えている。百年待って、美しい百合が咲くのだ。きっと、オスカーは迎えに来るフェイスがそんな姿なのは嫌だろう。オスカーは、触れ合いを好む。フェイスの瞳が溶けていく様を好む。オスカーがフェイスの中で一番好きなのは、この美しいマゼンタピンクの瞳だ。
    「桜じゃなくても、美しい花の下にはさあ、死体が埋まってるのかもね」
     もう眠いや、と話し始めたフェイスが話を切り上げる。
    「俺ならね、オスカーを埋めたところには何も咲かせないよ」
     誰にも、オスカーの死体を奪わせないから。オスカーの返事を聞く前に、フェイスは眠りに落ちていく。
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