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    Fuzu

    いどくちゃんのゆるゆるssとかえろいssとか…なんかもうとにかくいどくちゃん書きたいな!いどくちゃんてぇてぇやねハッピー!たまに絵も投げます

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    Fuzu

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    ハロウィンとあまり関係ないかもしれなくなったハロウィンフェリルー(大遅刻)です!!!!!

    「よく来たな」
    玄関の扉のを開くと、そこにはジャコランタンのバスケットを片手に携え子供のように目を輝かせる狼が立っていた。
    「がおー!!狼だぞー!!甘くておいしいのをたらふく食べに参上しましたであります!!おかしをくれないといたずらしちゃうぞ〜!!
    「相変わらず食欲旺盛で結構なことだ。上げっていけ」
    わーいと歓声を上げると同時に俺の脇をすり抜けてダイニングへ吸い込まれるように駆けていった。全く、普段からこれだけてきぱき動いてくれれば困らないのだが。眉間が寄るのを感じながらイタリアの後を追った。
     壁掛け鏡の前でちまちまと髪の具合を直しているイタリアを、ダイニングテーブルを拭きながら鏡越しに盗み見る。いつもより赤い唇が気になった。俺は知識がないからよく分からないが、今日は化粧もしているのだろうか。子供の好みそうなかわいらしい狼の衣装も年の割にはよく似合っている。あられもない姿でシエスタに勤しんでいたり下着一枚で俺の家をうろついたりしているイタリアばかり見ているせいか、こなれた様子で様々な服と道具で全身を固めているイタリアを見るとどうにも忙しない気持ちになる。白い開襟シャツから覗く細い首は夏の間に地中海の太陽に灼かれた様子を留めていて、北方に位置するこの国では殊に眩しく映った。
    「あれ、そういやプロイセンいないの?」
    唐突にぱっと振り返られ、ばっちりと目が合った。慌てて目線を手元に戻し、止まっていた手を動かす。誤魔化したいが、彼の健康そうな焦げ茶の瞳は確かに俺の顔を捉えていた。後ろからじろじろと見られていただなんて、決して気分の良いことではないだろう。無論、俺も気まずい。
    「あ、兄貴ならさっきうちに来た子供達に付いて行ったぞ」
    「ヴェ〜、お菓子貰えるのかなぁそれ」
    「大人は無理だろうな」
    彼に背を向けてシンクで布巾を洗う。冷蔵庫を開け、イタリア用に取っておいたかぼちゃのプリンに手をかける。
    「うぉーおいしそー!」
    いつの間にか隣に来ていたイタリアがプリンの前に顔をずいと突き出してふんふんと鼻息を荒げていた。その様子に、先程から抱えていた気まずさから解放される。
    「気に入ってくれるといいが」
    今月の週末をすべてこの研究に費やしてきたと言っても過言ではない。今年はイタリアが来るというので特に熱を入れた。彼のように料理の上手い奴に自分で作ったものを食わせるのはやはり緊張するものだ。
    「いただきまーす!」
    細い指がスプーンで強気に大きくプリンを掬い、赤い柔らかそうな唇がぱくりとそれを受け入れる。みるみるその口元が綻んでいくのを見て安堵のため息をつく。
    「おいひ〜よこれ!!さっすがドイツ!!んまー!!」
    「そうか、良かった」
    大きめのマグカップに詰まっていた橙色のプリンはあっという間に平らげられ、イタリアは底に残ったカラメルソースを掬ったスプーンを咥えて満足気に鼻歌を歌いだした。
    「ごひひょーひゃまー」
    「こら、下品だぞ」
    スプーンを唇の間から抜き取ってカップの中に戻す。子供のように扱われたのが気に食わなかったのか、どうやら不機嫌そうに膨れた頬を摘む。
    「ゔぇ〜いひゃいよぉ」
    「随分と柔らかい狼だな」
    もにもにとしたさわり心地が心地よくて、イタリアが静止しようと手を掴むのを無視して頬をいじり続ける。
    「ほら、お前は何か持ってきていないのか?お菓子をくれたらいたずらは止めてやるぞ」
    「もっひぇる!もっひぇるからぁ〜!」
    それならば、と手を離してやる。順番が逆じゃないかと文句を言いながら、イタリアはバスケットの中からごそごそと白い箱を取り出した。
    「ほーら、俺だってちゃんと作ってきたもんね!」
    ずいと手前に突き出され、開けて開けてと急かされる。シンプルな紙の箱に巻かれたえんじ色のリボンを解いて蓋を開く。
    「ビスコッティか」
    「正解〜」
    顔を上げるとテーブルの上にはいつの間にかワイングラスが置かれており、イタリアは上機嫌な鼻歌を再開しつつちょうどワインが注いでいるところだった。やはりこいつは食に関してだけは行動が速い。
    乾杯を交わしてワインを口に含み、ビスコッティを齧る。
    「む、うまいな。香りが良い」
    「でしょ〜」
    イタリアはへらへらと楽しそうに笑いながら手を伸ばして俺の手に触れる。ビスコッティを噛みながら放っておくと俺の指で遊び始めた。狼というより犬だな、と言おうとしたが、イタリアの言葉が先行した。
    「ね、お前さっき俺のことじーって見てたでしょ」
    思わず肩が揺れる。やはり誤魔化せていなかったのか。あからさまに動揺する俺を目の前の狼はいたずらっぽくにやにやと見つめている。
    「なんで見てたのー?」
    「な、なんでもなにも」
    しどろもどろになればなるほど追い詰められる。別にやましい何かがあったわけでもないが、なんでと聞かれると自分でもよくわからないように感じられてしまうだけだ。断じてそれだけだ。しかし、なんでなんでと繰り返すイタリアは完全に俺の反応を見て楽しがっている。
    「ねぇねぇなんでー?教えてよー」
    「おい、この質問責めはいたずらだろ!やめろ!」
    「さっきのほっぺたの仕返しだよ!」
    「むっ……」
    そう言われると何も言い返せない。してやったりという顔がどことなく腹立たしい。
    「それに俺いたずらするならもっと良いことするつもりだったもん、お前が意地悪なのが悪いんだよ〜」
    「なんだ良いことって」
    機嫌よく調子に乗っていたイタリアが、ふと目を泳がせ始めた。
    「どうした?」
    「あっいやなんでもないよ〜」
    「さっきまでの威勢はどうしたんだ?言えないことでもあったか?」
    先程の報復に対する報復だ。時間はたくさんあるからしばらくはこの遊びに興じるのも良いだろう。
    「言えないっていうか、いざ言おうとするとちょっとはずかし…」
    イタリアは依然言葉を濁らせている。が、俺には切り札が常に用意されている。
    「そういえば来週の会議の資料作りが難しいと言っていたな。明日にでも手伝ってやるつもりだったが、俺にも休日を一人で自由に過ごす権利があるからな…」
    そう言った途端、イタリアは慌てて降参のポーズを取った。
    「それだけはどうかお願いします!!言います!!言いますからぁ!!」
    「それなら仕方ないな。ほら、言ってみろ」
    ゔぇぅ…と鳴き声のようなものを上げ、ぼそぼそと話しだした。
    「え、えと……お前を、その、食べちゃおーって……思ってました……」
    そう話しながらイタリアの顔はみるみる真っ赤になっていった。やめろ、俺にも伝染る。
    「……よくもそんな恥ずかしいことが言えるな」
    「だから恥ずかしいって言ったじゃん!!」
    ネットで調べたらそういう『お決まり』があるらしいんだよぉとかなんとか言っているが、俺もイタリアもこっぱずかしい気持ちのままで顔の火照りが収まらない。
    「でも、あの……もう恥ずかしいこと言っちゃったから勢いで言っちゃうんだけど……」
    「もったいぶらずにさっさと言えば被害は小さいぞ」
    それもそうだ、とイタリアが呟いている。そもそも最初の軽い雰囲気で言ってしまえばここまで恥ずかしい思いをすることはなかったのだ。大体いたずらでそういうことをするつもりでもこのヘタレにそんなこっぱずかしい事ができるのか。
    悶々としていると、イタリアが急に大きな音を立てて立ち上がる。
    「お菓子もらっちゃったからいたずらできないけど、その、お前を食べるってのはどちらかといえばお菓子食べる方だと思うので、えと、あっあとでお前を!食べたいです!!」
    唐突な大声での意思表示にあっけを取られ、肯定とも否定ともつかない声が漏れる。しかし真っ赤な顔で突っ立っているイタリアが段々痛ましく見えてきて、慌ててはっきりと肯定する。
    「あ、ありがと……」
    「ああ、頑張ったな、意地悪してすまなかった」
    イタリアの熱い体を抱きしめて頭をなでてやる。しかし、今日はなぜこんなにも恥ずかしい要因が多いんだ。このあとろくに顔を見てやれる気がしない。俺こそ問い詰められたときにさっさとお前に見とれていたとでも言っておけばよかったんだな。だが、それでも結局こっぱずかしい展開は避けられないだろうから、今日はそういう定めなのかもしれないと諦めることにした。
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