真空地帯ここはとある森の奥の、こぢんまりしたログハウス。
やっと突き止めた、“吸血鬼“と噂される敵の住処だ。
不用心に鍵のかけられていない玄関から簡単に侵入できた。罠の可能性を疑いながら、慎重に明かりがついている二階へと上がる。
「ねーんねーん、ころーりーよ、おこーろーりーよー…」
奥の部屋の中から、小さな歌声が聞こえてきた。
それは、日本に昔から伝わる懐かしい子守唄。
どことなく“洋“を感じるこの家には、なんだか似合わない気がした。
(この声、どこかで…?)
こくり。
チームアップしている轟くんと視線を合わせ、頷きあう。
突入の合図だ。
バァァァン!!!
木製のドアを蹴破り、部屋の中へ入る。
「僕らが来た!大人しく…!!!」
「ぼうやは、よいこーだ、ねんねーしーなー…」
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