Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    MYSN

    @garando_square

    推しカプ認知拡大!推しカプ認知拡大!推しカプ認知拡大!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💜 ❤ ㊗ ☺
    POIPOI 60

    MYSN

    ☆quiet follow

    【★文章】大ヒス/二人だけの解読表

    RTタグに反応ありがとうございます!

    ##ブラスタ
    #腐ラスタ
    rotatorCuffStar
    #大ヒス
    majorHysteria

    【★文章】大ヒス/二人だけの解読表 金剛が喫煙スペースを覗くと、そこにはヒースの姿があった。珍しく喫煙者たちの影はない。ベンチに深く腰掛けて難しい顔をしているチームメイトに声をかける。

    「お疲れ。どうしたんだ」
    「お疲れ……ん、これ分かんなくて」

     ヒースは手に握っていたスマホの画面を金剛に見せた。画面にはメッセージアプリのチャットページが映っている。対話の相手は大牙で、最新のメッセージは数字の羅列だ。

    「なんだこれ」
    「たぶん、暗号。たまにこういうのくる」
    「……俺に見せていいやつ?」

     金剛は少し困った表情でヒースを見た。ヒースと大牙が付き合っているということを知っている数少ない一人として、暗号を解いて睦言が出てくるのではと気を利かせたのだ。

    「大丈夫、そういう大事なことは直接言ってくるから」

     ヒースの言葉に、信頼関係が伺えて金剛は安堵した。改めて画面の数字に二人して向き合う。

    「パソコン詳しいからなぁ、大牙は。そういうやつだったら俺は力になれない」
    「オレもわかんない。から、そういうやつじゃないと思う。調べたら簡単にわかるやつか、ひらめきとか、そんなんだと思う」

     ヒースはウェブ検索アプリを起動し、キーワード欄に『数字 暗号 定番』と検索する。謎解き情報まとめページが検索結果の先頭に出てきた。

    「フリック入力の位置は?」
    「それは前あった。たぶん違うやつ」
    「アルファベットを数字に置き換える、そんなのがあるのか。これやってみるか」

     ヒースは金剛との間に場所を作って、持っていたルーズリーフを紙の束から一枚抜いて置くと、そこに大牙からのメッセージにあった数字を書いた。アルファベットと置き換えてみたが、意味が分からない文章が出てしまう。今までの出した暗号は、解けばすぐ意味が分かるものだったからこれは違う、とヒースはルーズリーフに大きくバツ印を書いた。次は何を試そうか、とヒースがスマホの検索画面を見ていると、横でルーズリーフの数字を見ていた金剛が、あ、と声を上げる。

    「俺読めたかも。ヒース、これ——ポケベル打ちだ」
    「ぽ……?」
    「スマホとかケータイとかが出る前の連絡手段、かな。ネットで検索してみて。一覧表があるかもしれない」

     ヒースは検索欄に『ぽけべるうち』と入力すると、検索結果の一番上に変換表のリンクが出た。ページを開いて表を見ると、最初の十桁を読んだだけで『ぼいとれ』という解読結果になった。確かに間違いないようだ。

    「ありがと、いけそう」
    「力になれて良かった。解読がんばって」

     金剛を見送った後、ヒースは解読を再開した。結果は『ぼいとれしつたなうえみぎ』となり、とりあえずボイトレ室に向かう。運良くボイトレ室は予約がない状態で、ヒースは入り口からまっすぐ本棚へ足を進めた。

    「たな、うえ、みぎ……」

     解読結果に沿って、棚の一番上のエリアの右端を見ると、クリアファイルの端が他の本より大きく飛び出している。引き抜くとそれは、ヒースが歌詞を書き留めたルーズリーフが数枚入っていた。数日前にここで歌詞を書いたきり、紛失していた部分だった。それを見つけたのか、誰かから預かったのか分からないが、大牙がまとめて置いてくれたのだろう。直近の公演に使うものではないので、急ぎではなかったが見つかったならそれはそれで助かる。
     大牙に結果報告をしようと、ヒースはメッセージアプリを起動しテキストを入力したが、少し考えて全て削除する。打ち直した文章はすぐに既読がついた。

    『通話いい?』
    『おけ』

     返ってきた短い返事を合図に、メッセージアプリのビデオ通話をかける。数コールの後、大牙の顔が映った。後ろの様子から、自室にいるのだろう。

    「見つけたよ」

     ヒースはクリアファイルをひらひらを振って見せた。

    『お、今回早いすね』
    「金剛に教えてもらった。ぽけべるうち」
    『そーか、世代すもんなぁ……あーもうちょいかかると思ったのに』
    「オーディエンスあり、なんでしょ。手段は選ばないから、オレ」

     勝ち誇った顔で大牙にピースサインをして見せる。大牙は時折こうやって、よく分からない謎解きを投げかけてくる。そんなことせず、メッセージにすれば意味が伝わるのは早いかもしれない。それでもそんな手間が、ヒースにとっては楽しみだった。

    『次はもーちょいレベルあげて良さそうすね。同じ方法使わない縛りやってるんで、もうこの手は通用しねーすから』
    「このままだと、大牙オリジナルの暗号とか出てきそう。誰も解けないやつ」
    『確かに。まぁそうなってもヒースは解いてくれるっしょ。相手に伝わるよーに作るのが暗号なんで。一番伝えたい相手には読めるようにしとくモンすよ』
    「ふーん」

     誰にも解けない暗号の解読表が、二人の間にだけできたら。その暗号を使うことそのものが愛なのかも。そう考える。得意げな顔で次の謎解きについて語る恋人を、ヒースは優しい眼差しで見ていた。

    (終)



    - - - - - - - -



    ポケベル打ちだと「6504124594324341511314722204」になるらしいです。長いのでミスったら全然違う結果になる。のでヒースは慎重に書き写して、慎重に解読しました。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💜💚🙏✨💜💚
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works