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    おもち

    気が向いた時に書いたり書かなかったり。更新少なめです。かぷごとにまとめてるだけのぷらいべったー→https://privatter.net/u/mckpog

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    おもち

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    Lucashu&voxike。Luxiem学パロ

    #Lucashu
    #voxike

    大きな音を立てて扉が開き、それと同じくらい大きな声が静かな文芸部の部室内に響いた。
    「どうしよう!!」
    「……あー、ルカ、また何かやらかしたのか?」
    「扉が壊れちゃうよ。話を聞くから優しく扉を閉めてここにおいで」
    「ああごめんアイク! ヴォックスもいたんだね、今日は女の子たちは?」
    「今日はアイクといたい気分だったんだ。二人きりでのんびり過ごしてたんだけどな?」
    「そうなんだ。それでね、アイク、俺分かったんだよ」
    「うん? 何が?」
    「俺、シュウのこと好きみたいなんだ」
    「「……は?」」
    俺の話を適当に流すな、と言葉を挟んでやろうと思ったのに、ルカの言ったことに俺とアイクは二人で驚き思考を停止させた。ルカは真剣な顔をしているけれど、こいつはいつだって大真面目な顔で突拍子もないことをしでかすヤツだ。
    「え、ええと、ルカ、もう一回。シュウのこと、……なに?」
    「シュウのことが好き。たぶんね、そういうことだったんだよ」
    「……アイク、きみは今までルカから恋愛相談でも受けていたのか?」
    「まさか! いや、たしかに少し前に少女漫画を貸してあげて、恋愛について話したことはあるよ。けど、その、……ルカって女の子が好きなんだと思ってた」
    「俺も! だからビックリしちゃって、アイクに聞いてもらおうと思って走ってきたんだ!」
    いつもなら「廊下は走っちゃダメだよ」なんて注意が入るところだけれど、アイクも混乱しているらしく「ああ、そうなんだ……」と相槌を打つだけだった。全然話が読めないけれど、ルカの発言を反復して少し引っかかったため、俺は恐る恐る声を上げる。
    「あー、……ルカ? ビックリしたって、何かシュウのことが好きだと気がつくキッカケでもあったのか? 鞄を持っていないけれど今までどこに?」
    「あ! シュウに渡したままだ! 待ってくれてるかも、ちょっと行ってくるよ」
    「ちょ、ちょっと待ってルカ!」
    「うん?」
    「さっきまでシュウと一緒だったの?」
    「そうだよ、シュウとミスタと教室で遊んでた。それで、……あー、……あのさ、俺はさっきそう思ったんだけど、……えっと」
    歯切れの悪いルカなんて珍しい。窓際に立っていた俺は二人と視線を合わせるために椅子に座り、ジッとルカを見つめた。こいつが瞳を彷徨わせるなんて、シュウ、一体何をしたんだ。
    「ルカ、言いにくいなら別に」
    「いや、いや、そんな変なことじゃないんだよ。ただ、……俺、シュウが笑って、それで、……可愛いなって思ったんだ」
    「……あー、友達としてじゃなく?」
    「うん……」
    「おぉ……」
    「今までもシュウが笑うとこなんていっぱい見てるのに、急にどうしてだろう。ああ、俺飛び出してきちゃったから二人が変に思ってるかも……。ヴォックス、やっぱり代わりに俺の鞄取ってきてくれない?」
    「ルカ、落ち着け。別に突然自分の気持ちに気がつくことなんてよくあることだ。それにおまえはいつも急に動き出すから教室を飛び出したくらいじゃ二人も変に思ったりしないと思わないか? きっといつ帰ってくるかなと話しながら待っててくれてるよ。ほら、お菓子をあげるからこれを持って戻ったらどうだ?」
    「わあ、いいの?! 俺これ超好き!」
    びっくりするくらい簡単にルカは笑みを浮かべて、俺からお菓子を受け取ると「バイバイ!」と手を振り部屋から出て行った。しんと静まり返った部屋の中、アイクは目を丸くして中途半端に閉められた扉を見つめてる。
    「……アイク、すまない、きみにあげようと思っていたお菓子をルカにあげてしまったよ」
    「あ、うん……。……あれ、僕にくれる予定だったの?」
    「ああ。お詫びと言ってはなんだが、良かったらこの後カフェにでも行かないか? お茶をご馳走させてくれ。ルカのことはきっと自分でどうにかできるだろう、相手がシュウだし」
    「うん……うん、そうだよね。シュウに任せておけばいっか。奢ってもらうのは申し訳ないしちゃんと自分の分は払うよ。ヴォックスがいてくれて良かった、僕一人じゃうまく話を聞いてあげられなかったかも」
    「そんなことない。ルカだってアイクに聞いてほしくてここに来たんだから、きみはもっと自分のことを信じてあげて」
    「うーん?」
    「ふふ、オーケー、きみの分も俺がきみのことを信じてる。ルカもシュウもミスタも、アイク、きみのことを信頼しているよ」
    「……うん、ありがと。へへ、ヴォックスは口がうまいんだから。嬉しくなっちゃった、やっぱり僕がお茶をご馳走しようかな?」
    「俺が好きな子にお金を払わせるようなことをすると思うか?」
    「ああ、きみは女の子たちに優しいものね」
    「……相変わらず俺の言葉はうまく届かないらしい」
    「?」
    大丈夫、鈍いきみのことだって大好きだ。恋愛のレの字も知らなかったルカが突然自分の恋心に気がついたように、きっとアイクだっていつか俺の心に気がついてくれるだろう。
    シュウから恋愛相談を受けていた俺は、ルカの恋路がうまくいくことを分かっている。ほらアイク、きみもルカに俺のことを相談してくれたっていいんだよ? あまり相談相手には適していない子かもしれないけれど。
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