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    10/3 ハガレン夢イベントdon't forget you内展示品

    『認められない弱い私』の別視点からの話

    君の中には 最近僕と一緒に遊んだり、勉強を教えてくれるお姉さんがいます。ある日お母さんから「今日からあなたの家庭教師よ」と紹介され、にこっと笑ったお姉さんの顔が、とても素敵だったのを今でも覚えています。
     お姉さんはいつも僕と一緒に居てくれて、色々なことを沢山教えてくれます。今はまだ学校へは行けないので、学校で習うようなことから、学校では多分こんなことは勉強しないんだろうなあってことまで、色々。お姉さんは一番熱心に教えてくれるのは、化学です。簡単な化学反応から始まって、今は有機化学のちょっと複雑な反応をお姉さんと一緒に勉強しています。お姉さんは「私も最近、やっと分かるようになったんですよ」と笑っていますが、とてもそんな風には見えなくて、ずっと昔からよく勉強していたような。教え方も上手なので、きっと学校に行って化学の試験を受けたら、僕が一番になれると思います。
     お姉さんは時々、泣きそうな、悲しそうな顔をしています。僕はそれが、とても悲しいです。お姉さんにはずっと、笑っていてほしいからです。
     前にお母さんがどうしても家を開けなければいけなくて、寂しくて僕が泣いてしまった時、お姉さんは僕を優しく撫でて、抱きしめてくれました。お姉さんの腕の中は温かくて、安心して寝ちゃったのはちょっと恥ずかしい思い出です。次の日の夜になってお母さんが帰ってきた時にお姉さんの話をしたら、お母さんもお姉さんと同じような、ちょっとだけ泣きそうな、悲しいような顔をしていました。僕はお母さんが悲しくて泣いているのを見るのが嫌です。お母さんにはいつまでも幸せに、笑っていてほしいからです。お姉さんも一緒で、あんなに優しくて素敵なお姉さんの泣くところを、僕は見たくありません。
     お父さんが居なくなって、お母さんは暫くの間毎晩こっそりと泣いていたのを、僕は知っています。今はあんまりそういうことはなくなったみたいですが、まだやっぱり、時々寂しいような顔をしています。お姉さんはその頃のお母さんと、ちょっと似ているような気がします。
     
    「君は本当に、賢いです。天才かもしれない」
    「そんなことはありません。お姉さんの教え方がとっても分かりやすいからですよ」
     お姉さんは、そんな風に僕を褒めてくれます。
    「もう、私はそろそろ先生卒業かもしれませんね」
    「えっ、嫌です! もっとお姉さんと一緒に勉強がしたい!」
     お姉さんは困った顔をしましたが、僕は僕が賢くなったり天才になったりするよりも、お姉さんとこうしてずっと勉強がしていたいのです。お姉さんと一緒にいられたらとても幸せな気分になって、満たされた気持ちになるのです。


     ……最近、僕の中に何だか変な気持ちが湧き上がってきます。お姉さんには気付かれていないといいんですが。お姉さんが時々赤いものを身につけていると、ドキッとします。よく似合って素敵だな、と思うのと一緒に、そんなお姉さんを……なんと言えばいいのか分かりません。普通の時はそんな風には思わないのに、まるで僕の中にもう一人の違う僕がいるような、変なカンジです。そのもう一人の僕が、お姉さんの赤い色を、そしてお姉さんを欲しがっているように、感じます。僕は僕だけのはずなのに、こんな気分になるのはおかしいでしょうか?こんなことは、お母さんにも話せません。お姉さんには、もっと話せません。
     けれど、お姉さんと一緒に居たい気持ちは、絶対です。変な気分のもう一人の僕も、きっとお姉さんと一緒に居たい気持ちが強いからだと思います。これからもお姉さんと一緒に勉強ができて、ずっと一緒にいられたらなと思います。
     
     終
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