【 一生焼肉に行けない三人の話 】 イカついエンジン音とプロペラの轟音が近づいてきて、鼓膜を麻痺させていく。どんどんと、加えてサイレン音に混じって微かに人の声が聞こえてきたところで「ガシャン! ギギッ!」とボロボロになったスポーツカーが止まった。降りてきた雪だるまの被り物をしたエクス・アルビオを目視して、シュウは助手席のガタがきているドアを開けた。「ガコ」と今にも外れそうな音にエビオは吹き出した。
「そろそろメンテしてもらおうね〜」
硝煙に、微かに鉄の匂いの染み込んだ男とは凡そ結びつかない軽快で、マイペースな声色だった。「バコン!」と、断末魔のようにイッシースポーツのドアが鳴いて閉められる。シュウはそれを合図にアクセルを踏んだ。
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