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    saku_hpyuri

    hpyuのなにか

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    saku_hpyuri

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    身長差キスのホプユウ/hpyu
    n年後設定となっています。R15っぽいからこっちに

    机に膝をついた状態のまま、ユウリはじっと一点を見つめていた。視線の先には真っ白い白衣を纏い、にこやかに助手たちと再来月ごろに行われる学会で発表する予定のレポートについて談義している真っ最中だ。

    「じゃあこんな感じで大丈夫か?」
    「はい!」
    「そろそろ時間だな。今日はもう帰っていいぞ」

     レポートの束を捲りながら、ホップが壁に掛けてあった時計に目線を向ければ時刻は定時を告げている。助手たちが帰り支度を始める中、熱い視線を送り続けている人物へとホップは近づいていく。
     背後で助手たちがお疲れ様でしたーと声をかけながら次々と玄関を開けて出ていくのを横目に、ホップはお疲れ、と助手たちに律儀に返事を返していく。
     最期の一人が出払ったところでホップはやや不貞腐れ気味のチャンピオンの頭を撫でまわした。

    「やーめーてーよー」
    「チャンピオン様がこんなところで油売ってていいのか?」
    「今日の仕事は全部終わらせてきたもん」

     言ってユウリは机に突っ伏した。構ってあげられなかったのは申し訳ないが、連絡もなく突然やってきたのはユウリのほうだ。ホップにだって博士としてやるべき仕事は山ほどあるし、助手たちのレポートだって見れてやらねばならない。

    「ホップって、背高いよね」
    「いきなりなんだぞ」

     机に頬を摺り寄せながらユウリはじとーとした目付きでホップを見つめた。

    「わたしだって成長したのに! ホップと全然背が縮まらない!」

     子どもみたいにじたばたと地団太を踏むユウリを見下ろしながら、ホップははぁとため息をついた。チャンピオンになって大人に囲まれた仕事をこなすユウリは傍から見れば理想的な女性だろう。見目麗しい外見にバトルセンスは抜群。CMに出れば飛ぶように商品は売れるし、子ども向けの講座を開催すればすぐに満員になるほどの人気っぷりだ。人にもポケモンにも優しいのがガラルの女王、ユウリだというのがガラル中の人々の認識だ。
     けれども一度本性を知れば、理想とはかけ離れた子どもっぽい部分を持ち合わせている。それを知っているのは一部の人間だけだし、今だってどう足搔いてもどうにもならない身長のことでやっかまれる始末だ。

    「ほら! わたしとこんなに差があるんだよ!」

     勢いよく椅子から立ち上がったユウリは手でホップとの身長差を計る。頭一個分ほどの違いはあるけど、ユウリだって昔に比べればだいぶ背が伸びたほうだと思う。男と女では身長に差が出てくるのは仕方ない、と以前も言ったはずだがそんなことユウリが覚えているわけがないのだ。

    「仕方ないだろ。オレとユウリじゃそもそも性別だって違うんだし」
    「むー!」

     怒ったビバニーみたいに頬を膨らませながらユウリはむすっとした顔をする。頭では分かっていてもホップに必死に追いつきたいユウリからすれば不本意極まりないのだろう。

    「たまにはわたしからホップにチューしたいもん!」
    「…………ったく」

     呆れながら、ホップは少しだけ膝を曲げてユウリと目線をかち合わせた。首に手を回し、ぐいっと引き寄せれば鼻先がくっつくほどの距離にお互いの顔がある。ちょっとでも息をすれば吐息が頬に当たるほどだ。

    「ほ、ホップ?」
    「我儘ばっかり言うお姫様には、こうだぞ」

     首から頭へと手を動かして、ホップはそのままユウリへとキスをした。いつもの優しさに溢れたキスじゃなくて、はむはむと唇を挟みながらユウリの柔らかい唇を堪能する。ニプルキスと呼ばれるキスを送りながら、下唇のラインを舌で丹念になぞって、空いていたもう片方の手を腰へと回す。下唇のラインをなぞって、今度は上唇へと舌を這わせた。気持ちいいのか、ユウリの口が徐々に開き始めるとホップはそのまま唇を這っていた舌を流し込む。逃げないように小さな舌を捉えれば倣う様にしてユウリも舌を絡ませてきた。

    「ん……ッ……ふぁ……」

     息を吸うために口を開けばその呼吸すら食べられる。息がしづらくて、頭の奥に白い霧のようなものがじわじわとユウリの脳内を埋め尽くし始めた。倒れないようにホップの白衣を握りしめれば、それは彼を煽るだけの行動になりえるだけで、益々持ってつながった唇から舌が深く差しこまれるだけだ。
     膝を曲げているのもそろそろ限界で、ホップは怪我をしないように支えながらユウリを机へと押し倒した。そのまま唇が離れると二人の口の端から、繋がっていたことを示すように銀色の糸がつぅっと伝ってユウリの首筋へと垂れ落ちた。
     酸欠で目の前が霞み、生理的に零れ落ちる涙が目尻からじんわりと頬を伝って、机へと滴の小さな池を生み出した。

    「ここ、研究所、だよ」
    「ユウリが煽ってきたんだろ?」
    「煽ってない……もん」

     言いかえすも、語尾も弱弱しくなってしまって何の説得力もない。

    「身長差とかこれなら気にならないだろ?」
    「なんかずるい」
    「ずるいって……ったく、」

     押し倒した状態でホップはがしがしと頭を掻いた。それは彼が考えているときの癖の一つだ。
     押し倒されたままユウリは胸の前で自分の両手を握りしめている。どうしていいかわからずに手の置き場に困っているのだ。霞む双眸には、真っ新な天井と何かを考えている博士の姿だけが映し出される。
     ふいにユウリの視界が反転したと思えば、今度は天井ではなく地面へと目線が向けられた。急な反転にめまいじみたものを覚えたユウリは、今まさに自分をお姫様抱っこで抱えている人物を見ながらダークブラウンの双眸をぱちくりさせた。

    「身長差なんて気にならないことをすればいいんだろ」
    「な、なにするの……?」

     聞かなくてもわかっている。
    ホップはお姫様抱っこをしたまま研究所の二階に繋がる階段へと進んでいった。一緒に暮らしているのだから、二階へ行けば何が起こるかなんてわかりきっているのだ。

    (明日の朝、動けるかな)

     これから自分がどうなってしまうかなんてわかりきっているのに、ユウリは明日の心配をするのだった。
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    saku_hpyuri

    MAIKING孤独を愛する彼女と帰る場所の書き下ろし部分一部抜粋
    こんな感じにややオカルト?テイスト入ります。
    どこんっ!

     “それ”は、突如として地上へ振り落ちた。誰もが興味を持ち、誰もが関心を持った。人の手ほどの大きさをした“それ”は真っ黒い塊としてガラル地方のとある場所に落下した。
     それがなにか、この場にいる誰も知らなかった。ただただ、好奇心に駆られてしまい“それ”が落ちた場所に人々は集まる。
     ふと、人々は口を開く。
    『これはなんだろう』
    『隕石だろうか』
    『ずいぶんと小さいな』
    『ポケモンの隕石かな』
     口々に声を上げ、各々好き勝手な感想を述べる。
     そうして、誰かが言った。

    『触ってみよう』

     一人の若者が好奇心に駆られ、落下した“それ”に触れた。なんともない、ただの石にしか見えない“それ”は触れた途端、ぴきっと歪な音を響かせた。割れ目がめきめきと嫌な音をたてながらその場に木霊する。
     そして聞こえたのは、絶叫。

    『――――――――――――――――――ッ!』

     地上を振るわせる絶叫がその場に振り落ちる。
     鼓膜が振るえ、立っていることすらできない。
     絶叫を発しているのは若者ではない。歪な悲鳴を響かせながら、隕石と思われた“それ”が地鳴りを轟かせる。地面が揺れ、地割れが起 1299