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    sigu_mhyk

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    1日1ネファネチャレンジ 72
    魔法舎 ネロファウ+フィガロ
    ※フィガロの独白

    ##1日1ネファネチャレンジ

    とある医者の手記Day.××

    やあ、俺はフィガロ。
    ……おっと、日記には自己紹介は要らないんだったな。
    賢者様が賢者の書を書いているだろう?
    それいいね、って話をしていたら、日記をつけたらどうかと言われたんだ。
    どうやら賢者様もつけているみたいで、折角なら一緒に手帳を買いに行きましょう、って誘われたから市場にも行ってきた。
    俺はもう少し薄いものでよかったんだけど、賢者様が「この魔法舎は沢山の出来事がありますから、書ききれなくなりますよ」なんて笑うから、それじゃあと思ってちょっと分厚いやつを買ってみたんだ。

    その日にあった出来事を記録する……限りある年月を生きる人間らしいよね。
    賢者様の世界では、昔は寿命が三十年位だった時代もあるみたいで、俺には想像が全くつかない。
    途方もない年月を生きる俺たち魔法使いと、刹那の年月を生きる人間。
    どっちが幸せなんだろうね。

    さて、話を戻そうか。
    今日あった出来事。
    この日記を書くきっかけになるような、思わず筆を取ってしまう事件があったんだ。

    夕食を終えていい時間になった頃、眠気に見放された哀れな俺は夜の寂しさを紛らわすためにシャイロックのバーを一人訪れた。
    そこには先客がいてね。ファウストとネロだ。
    最近彼等は仲が良いらしく……というかまあ、俺やシャイロックからしたらバレバレなくらいに仲良し。恐らく他の魔法使いにもバレバレだと思うけど、本人達は隠せているつもりなのだから面白いよね。
    その日も二人仲良く揃ってグラスを傾けていたから、お邪魔かな〜?とも思いつつ、しっかりお邪魔させていただいたわけだ。
    ネロはあからさまにビビっているし、ファウストは目を釣り上げてネロを自分の方に引き寄せるしで、それだけで仲良しだな〜って俺は楽しい思いをしたんだけど。

    本番はここからだ。
    いや〜、大変だったよ。
    途中で合流したルチルが珍しい西の酒を持ち込んできてね。あ、俺は「これ以上飲んじゃだめです!」って怒られちゃったからお預け。折角だからとファウスト、ネロとルチルが三人で一緒に飲んでいたんだ。
    その酒というのが「魔法使いを酔わせる」魔法がかけられた魔法酒でね。あのルチルでさえテンションがあがってケタケタ笑いだしたくらいだ。
    とあれば、東の二人はお察しだよね。
    べろんべろんになった二人が何を始めたと思う?お互いの顔みながら可愛い可愛いって、互いの顔を肴に飲み出したんだ。
    まあ、可愛い合戦だけなら酔っ払いの戯言と思えたけど、次第に怪しい……大人の夜の雰囲気になってきてしまって。詳細は二人の尊厳のために省かせてもらうけど……俺は必死にルチルの耳を塞いだよ。シャイロックはカウンターの向こうで珍しく肩を震わせて必死に笑い声を抑えていたね。ちょっとくらい止めてくれたってよかったのにさ。
    流石に二人の性事情に踏み込みたくない俺は、二人の意識をポッシデオしたわけ。
    ファウストは厄災の傷があるから勿論即刻部屋に放り込んで、ネロはルチルを部屋に送るついでに部屋に放り込んできた。

    部屋に戻った俺はもう眠気どころじゃない。知りたくないことを知ってしまった疲労で口から魂が抜けそうだよ。初めて自分に記憶を失くす魔法をかけようと思ったけど……。
    まあ、これも魔法舎で過ごしたある尊い一日の出来事だ。忘れてしまうにはきっと惜しいと思うくらいの、何でもない、馬鹿みたいな一日の出来事。
    どうせこの日記は俺しか読まない。
    俺が石になった時は跡形もなく燃えてしまうように細工をしたからね。
    誰の目にも留まらない、俺だけの記憶の記録だよ。

    さて……明日は何が起こるかな。
    この手帳のページがどこまで埋まるか、俺も楽しみだ。
    とりあえずこう締めようか。


    今日も魔法舎は平和です。



    フィガロ・ガルシア
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    sigu_mhyk

    DONE1日1ネファネチャレンジ 85
    魔法舎 ネロ+ファウスト(まだ付き合ってない)
    発火装置晩酌の場所が中庭からネロの部屋に。
    テーブルに向き合って座ることから、ベッドに並んで座るように。
    回数を重ねるごとに距離は近付き、互いの体温も匂いもじわりと肌に届く距離を許してもなお、隣に座る友人の男は決心がつかないらしくなかなか手を出してこない。
    手を僅かに浮かせてこちらに伸ばすかと思えば、ぱたりと諦めたように再びシーツの海に戻る。じりじりと近付きながら、数センチ進んだところでぎゅうとシーツを握り締め、まるでそこにしがみつくように留まる。
    ベッドについた二人の手の間、中途半端に開いた拳ひとつ分の距離。ネロの気後れが滲むこの空間をチラリと視線だけで伺って、密かに息をついた。
    よく分からないが魚らしき生き物も、毒々しい色をした野菜らしき植物にも。鋭く研がれた刃物にも、熱く煮えた鍋にも、炎をあげるフライパンにすら恐れることなく涼しい顔で手を伸ばすネロは、そのくせファウストの手を同じように掴むことができないでいる。刃物よりずっとやわらかく、コンロに灯るとろ火よりも冷たいファウストの手は、ネロの手の感触を知らないで今日まできた。
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