Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ワンタン

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💜 👏 💎 🌺
    POIPOI 25

    ワンタン

    ☆quiet follow

    お題「ウィンク」

    ウィンクできるヒュとできないラ

    カールの城下町にある宿で、ヒュンケルは2人掛けのソファに座っていた。ラーハルトは少し離れた窓際に寄りかかり、外の様子を黙って見つめている。威勢の良い声が聞こえるから、行商人か大道芸人でも来ているのかもしれない。何を見ているのか、訊いてみようとヒュンケルは口を開きかけた。

    「できるか?」

    ヒュンケルの問いが言葉になるよりも早く、ラーハルトの言葉がヒュンケルの耳に届く。

    「何を?」

    ラーハルトの唐突な問いかけに、ヒュンケルは少し驚いた様子で聞き返した。ヒュンケルの問いはーハルトの声とともに、ヒュンケルの中でかき消された。

    「ウィンク」

    とラーハルト。

    「できるぞ」
    「……そうか」

    ラーハルトの声は、意外そうな響きがあった。ヒュンケルは、もしかしたらラーハルトはウィンクができないのではないかと思った。

    「ラーハルト?もしかしておまえウィンクができないのか?」
    「ああ……」

    ラーハルトが、しぶしぶといった様子で頷いた。ラーハルトは少し負けず嫌いなところがある。

    「別に、おまえがウィンクをできなくとも、オレは気にしないぞ」

    なんでも完璧にこなしそうなラーハルトの思ってもいなかった苦手が、ヒュンケルはなんだか嬉しかった。

    「たとえおまえが気にしなくとも、オレが気にするんだ」
    「……相変わらずだな」
    「どうやったらできるようになる?」
    「さあ?どうと言われても」

    ラーハルトはヒュンケルの隣に腰掛けた。

    「教えてくれないか?」

    ヒュンケルは、目の前にあるラーハルトの顔を見つめた。静かで厳しく、それでいて情熱を滲ませた顔をしていた。ヒュンケルはラーハルトの、そんな顔が好きだった。ラーハルトの厳しく情熱を秘めた顔が、ウィンクで無くなってしまわないかとヒュンケルは少し心配した。

    「……わかった」

    ヒュンケルは、ラーハルトを見つめながらそう言った。外はいつのまにか静かになっていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺❤👀💓💜💜💜💜💜💜😊😊😊😊😘😘😘😘😘😉😉😉😉😉☺💜💜💜💜☺☺💖💖💖💖💜
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works