「ラーハルト」
「……餅か」
「不思議なものだ。年中売っているはずなのに、この時期になるとやたら餅が気になってしまう」
「この時期は、普段なら置いていない店にも置いてあるからな」
「……そうなのか?」
「……やれやれ。相変わらずおまえは、周りを見ているんだか見ていないんだか」
「おれが見てないところは、おまえが代わりに見てくれると思ってるよ?」
「……いつのまに、そんな上手い言い回しを思いつくようになったんだ」
「そうか?」
「おまえにしては、な。さて、どのくらい餅を食べたい?欲しいだけカゴに入れろ」
「……良いのか?」
「もちろん。おまえのことだからな、飽きるまで食べるつもりなのだろう?」
「さすが、ラーハルトはおれのことをよくわかっている」