宿伏版ワンライ
【 逃避行 / いつか / 空 】
*モブ、流血注意
いつの日か、また空が見てみたい。
小さな望みだと思う。
真っ青で澄んだ空は凄く綺麗だった気がする…
昔、約束を結んだ友達の瞳は、夕暮れに染まった空の色をしていた気がする…
もう何年、何十年経つのか。
地下のヒヤリとした空気に慣れて、暗闇でも目が効く様になって、残飯の様な食事を日に2度…
監視員は声を掛けたって反応すら無くて、友達といえるものは己の影のみ。
俺が捕まった当時、金切声を上げて叫んでいた声が言った。俺は人を殺したのだと。
まだ二桁にも満たない歳だった俺はただただその声が怖くて理解出来なくて、抵抗も出来ずにこの地下牢に放り投げられた。
俺の目の前で両親を殺めた筈のその人物は、まるで怪物を見る様に俺を冷ややかに見下ろしていた。
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