「あの構え、見覚えがある」
「何?」
「多分、昔の知り合いと同じ流派」
ぼそぼそと話すと、ユエは鉈を腰の後ろの鞘にしまった。指を鳴らして斜めに構え直したユエを仰ぎ見て、ハルニードがぱちぱちと瞬きをする。
「——何手か確かめる」
「了解。見てればいい?」
「危なくないところでな」
地面を蹴って再び不死族に接近すると、今度は正面から鳩尾を狙う軌道を取った。示し合わせたように両手に構えた「剣」の切先が突き出されて進行方向を妨げる。それがわかっているように矢状面に避けたユエはさらに懐に潜り込むべく一歩を踏み込み、追いかけてくる刃を左手に素早く抜いた鉈で受ける。
「霑ク繧後√>縺ォ縺励∴縺ョ譏溷スゥッ!」
鉈の刃が鈍く発光し、赤黒の刃の一部を溶かす。不死族が一歩引いた動きを知っているように追い、握った右拳を振りかぶれば、紫色の目は驚いたように丸くなった。
「——ッ!」
欠けた刃は即座に修復され、身を低くして顎への一撃を避けた不死族は油断なくその切先をユエに向ける、が、まるでそれがわかっていたように飛び退ったユエはハルニードが飛び乗っていた木の下まで距離をとった。
「巧い。……が、逆に読みやすいな。あれなら」
「すごいね」
「たまたまだ」
演舞のような一連を讃えて言うハルニードの声を、ユエは低い声であしらった。
「あれなら次は手で掴める……と思う」
「……ん」
「奥の手とやらの準備を頼む。」