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    もろきゅう

    @snd_housamo

    放サモ好きのアカウント。

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    もろきゅう

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    ツァトグァ大好きの会、会員。

    #放サモ
    #東京放課後サモナーズ
    tokyoAfterSchoolSummoners
    #ツァトグァ
    czatogua

    ひとつまみの信仰 その日は忙しかった。
     部屋の掃除に、ギルドの予算会議、新しいメンバー数人の情報の把握、アプリバトルによるポータルの死守、食材や生活雑貨の買い出し。
     特に予算会議は白熱した。先月余った額と合わせて、六三〇〇コイン。これを何に使うかで高校生たちのディベート合戦が幕を開けた。
     貯めておくべきだと手堅い意見を出す者もいれば、たまには皆で外食でもと言い出す者もおり、ギルドマスターの意見はと周囲が視線を向ける中、サモナーは困ったように笑っていた。

    「六三〇〇コインなら、われがデイトレードして、少ぉしだけ増やしてあげられるのであーる」

     気だるそうな声が議論を遮り、サモナーたちをポカンとさせた。
     Tシャツをまくり上げ、ボリボリと腹を掻きながら言うのはツァトグァだ。

    「高校生らしく、青山ギルドに募金してしまうのも手といえば手であーるが」

     たった数千コインで何ができるというわけでもないだろうが、塵も積もれば何とやらである。この意見にリョウタとシロウが賛成し、サモナーも了承した。
     さすがツァトグァは大人の意見を持っている、と感心された怠惰なる旧支配者は、照れたようにニッカリと笑い、サモナーの仕事を手助けしてくれていた。
     アプリバトルでもツァトグァは力を貸してくれた。怠惰なはずの神性は、ポータルを落とされないようタンクとして精一杯の努めを果たしていた。
     そして今、食材と生活雑貨を買いに近くのディスカウントストアへやって来たサモナーの隣で、彼は蜂蜜入りの乳飲料をねだっている。

    「今日は振り回してばっかりだね、ごめん。疲れたでしょう?」

     サモナーが申し訳無さそうにツァトグァへ声をかける。
     彼は大きく頷いて、しかし、と付け足した。

    「サモナーは我にとって、大事な大事な友達であーる」

     ニッカリと、満面の笑みだった。
     本来ならば信仰され、丁重にもてなされるべき存在の彼だが、仲間や友達のためになら、たまには、そう、本当にたまには、苦労しても良いと思ってくれるようだった。半目で小さくあくびをしている旧支配者が、買い物袋を持ってくれた。

    「いつもありがとう」
    「なぁに、お礼は蜂蜜たっぷりのマルゲリータピザで良いのであーる」

     そう言って笑う旧支配者に、サモナーは頷いた。
     何かを決心したようだった。

     ツァトグァのスマホがメッセージ受信を知らせたのは、三日後の午後。
     サモナーからの招集に、気怠いながらも内容を確認した。
     今度の日曜日は暇か、と書かれている。
     ツァトグァは軽くため息をつくと、眉をひそめてメッセージを打ち返す。
     ニートは毎日暇であるが、その質問は皮肉か何かであるか?
     返されたのは、マスコットキャラクターが大笑いしているスタンプだった。
     そうじゃない、ごめん、とすぐに返されるメッセージ。今度の日曜日に一緒に行きたい所があるんだ、と続く文章に、首を傾げる彼である。
     駅前に集合と指示されて、わかった、と送ってしまったのは、サモナーの人徳ゆえだろうか。ふわ、と大きなあくびがツァトグァの喉から発せられた。

     四日後の日曜日。
     ツァトグァはゆったりと歩いて駅前にやって来た。
     まだ集合の時間には余裕がある。指定されたよりも五分ほど早く到着した彼は、運動不足なのか、ぜえ、と息を吐き出した。

    「あっ、来た」

     いつものTシャツとズボン姿のツァトグァを見つけたサモナーが、大きく手を振ってくる。サモナーのほうが先に到着していたらしい。
     ゆるゆると手を振り返す彼は、そこで不思議そうな声を上げた。

    「ほかのみんなは? いないのであーるか?」
    「リョウタとアギョウはもうすぐ来るよ」
    「ふぅむ……それ以外は欠席であるか」
    「うん。こういうのに興味ありそうな友達だけ誘ったからね」

     こういうの。
     なんのことだ。
     事態を把握できていないツァトグァがサモナーを見る。
     我らがギルドマスターは、いたずらっぽく笑って一枚の紙を差し出した。

    「は、蜂蜜スイーツ食べ放題 そんな……これは、あの混み混みのスイーツ店の整理券であーる!」

     仰天したツァトグァが、まんまるな目をサモナーに向ける。サモナーはその様子がおかしくてたまらなかったのか、声を上げて笑っていた。

    「もらえるまで何日も並んだんだ」
    「こ、根性でもぎ取ったのであるか……どうしてそこまで?」

     サモナーの愉快そうな様子は変わらない。
     セーフハウスでぐうたらと横になったりゲームをしたり、蜂蜜スイーツを所望したりとニートの限りを尽くしていたツァトグァには、訳がわからないようだ。
     サモナーは口を開く。
     ささやくような声で、言った。

    「ツァトグァは自分たちにとって、大事な大事な友達だからね」

     ツァトグァが自分たちのために力を貸してくれるなら、自分たちもまた、彼に力を貸す。もてなされるべき神性が自分たちのために働いてくれるのなら、自分たちは……これを見返りと呼んでいいものかはわからないが、もてなそう。
     それが、サモナーズがツァトグァのためにできる、ひとつまみの信仰なのだ。

    「我らの神さま、これからも仲良く遊ぼうね」

     リョウタとアギョウが駆けてくる。
     ツァトグァと共に、今日という日を楽しもうとやって来る。
     サモナーが大きく手を振って笑うので、ツァトグァもまた笑った。

     くすぐったい信仰もあったものだ。
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