甘やかしたら遅刻しました チュン、チュン……と鳥の鳴き声が聞こえ、ルカは目が覚める。
腕の中には愛しい恋人がすやすやと寝ていて、思わず頬が緩んだ。
(……可愛いな)
そっと頭を撫でてみれば「ん……」と声を上げてアンドルーはゆっくりと目を開ける。
「あぁ、すまないアンディ。起こしてしまったかな」
「ん……ぅ……?」
まだ寝起きで意識がハッキリしてないのか、ぼーっ……とアンドルーはルカを見つめる。
「まだ眠い?」
「んん……ぅ……ん……」
こくん……と頷いてはぎゅぅ……とルカに抱きつき、ぐりぐりと頭を肩に押し付けてくる。
その仕草が可愛くて思わず抱きしめ返すと、アンドルーはふにゃりと嬉しそうに微笑んだ。
「っ……」
あまりの可愛さにやや動揺していると、アンドルーは気持ちよさそうにまた眠り始める。
「ん……かぁ……さん……」
「……寝惚けて母君と間違えられたのか……」
てっきりこんなに甘えてくれるのは恋人の特権だと思ったが、どうやら母親の特権だったようだ。
それに少し残念感を感じるものの、彼が可愛いこととこの愛らしい寝顔を独り占めしているのは今は自分のみと考えると、愉悦感の方が勝った。
(まだ朝食が並ぶまで時間もあるし……二度寝してもいいか)
ちゅ、とアンドルーの額にキスをして、ルカももう少し寝ようと静かに目を閉じた。
起きたのは三時間後で試合に遅刻してしまい、ナイチンゲールに二人揃って怒られたのは、また別の話。