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    mori_yuen

    @mori_yuen

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    mori_yuen

    DONEふわふわニットを着たハングマンに懐くルースターから始まるお話です。
    close the distanceモヘア
    「お前っ……、何だよ、これっ……!」
    「はぁ⁉︎ ってお前何してんだ」
     突然上がった声に驚くハングマンを完全に無視し、ルースターは一心不乱に彼の胸や背中を撫でさすった。正確には、ハングマンが身につけているニットのふわふわとした表面を。

    「おい、もういいだろ」
    あれから優に30分は撫で続けているルースターにハングマンが呆れた視線を向ける。「もうちょっと……」と抵抗するルースターは、すっかりハングマンが着ているふわふわとした触り心地のニット――モヘアニットと言うらしい――に魅了されていた。
    「そんなにさすられちゃ、落ち着かないんだよ」止まらないルースターの腕を引き剥がしにかかったハングマンに「たまにはいいだろ、恋人なんだし」と言い募る。ぐっと言葉に詰まって捕らえたルースターの腕を解放するハングマンに、まぁ戸惑う気持ちも分かるけどな、と心の中で共感する。付き合い始めてからの時間はそんなに長くないとはいえ二人は実際に恋人同士ではあるし、今日のようにハングマンがルースターの家を訪れるのも片手の指では足りないくらいの数にはなる。しかし、それでもこういった触れ合いは殆ど無く、今のようにルースターがぴったりハングマンに寄り添って座ることも無い。いつもは互いのパーソナルスペースをしっかり守って座っていて、ボブやフェニックス、コヨーテ達との距離の方が明らかに近かった。それでいて体の関係が無いかといえばそうではない。親友未満の距離感のくせにやる事はやっていた。むしろ体の関係から始まった事が、恋人らしい触れ合いが出来ない現状を招いたと言ってもよかった。
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    mori_yuen

    DONE前にアップしたハンルス01の続きです。が、齟齬やテイストの違いがあるので01を読まなくても大丈夫です。なんやかんやで後日会う約束をしたんだな〜と思っていただければ。
    Hand(ハンルス02)01続き ルースター視点
     「お前、来週こっちに来るんだって?」
     電話越しのハングマンの言葉に俺はぎくりとした。ハードデックでの件から三週間。発端はハングマンにあるとはいえ、あの顛末は流石に気の毒に思い「次は奢るよ」と言ったものの、その機会が来る前に俺達はそれぞれの基地に戻ることになった。一足先にファイタータウンから去ろうとする俺に「連絡先教えろよ」とセルフォンを差し出してきたハングマンは、表向きはいつもより爽やかな笑顔を作っていたが、「逃げられると思ってんのか」という副音声が聞こえてくるような圧を発していた。いや、別に反故にしようとしていたワケじゃ無いし、と心の中で反論しながらも、まぁ奢るのは次にあった時━━そんな機会がいつあるかなんて検討もつかないのに━━でいいかと思っていたのも事実なので、「もちろん、お前のも教えてくれ」なんて笑顔で連絡先を教える。そんな俺を疑わしそうに見据えた後、いつも通りの胡散臭い笑顔に戻ったハングマンは「じゃ、いい店があったら連絡する」と言って見送りもせずに去っていった。アイツ、凄い高い店を選んでくるんじゃないだろうな、という一抹の不安を抱えながら俺はホームタウンに帰還した。
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    mori_yuen

    DONE近々ハンルスになるハン→ルス 本編後の時間軸ですが、ハードデックにペニーがいます。
    ハンルス01ハンルス01
    カチン――
    瓶同士がぶつかる音が聞こえたと思ったらすぐに、頬にひんやりとしたものが当てられた。水滴のついた冷たい瓶の感触に遠い昔の記憶がよみがえる。青空をバックに今よりずっと若い彼が差し出したのは、もちろんビールじゃなかったけれど。
    「ありがと、マーヴ…」
    なんだか面映い心持ちで振り返る。しかし、そこに立っていたのは長年の隔絶を終えたばかりの伝説の男ではなく我らが救世主様だった。

    やっちまった――
    淡い過去の記憶に引きずられ、我ながら顔も声もゆるんでいた自覚がある。よりにもよってハングマンと間違えるなんてしばらくはこのネタでからかわれる覚悟をして、ヤツの方をそっとうかがう。片手にセルフォン、片手にビール瓶を2本持ったハングマンは、常のニヤニヤ顔を引っ込めて何故か神妙な面持ちで立っている。てっきりフルスロットルで煽ってくるかと思ったので拍子抜けだが、チャンスは今だ。年中無休で働かされているヤツの口が休暇願いを出してるうちに戦略的撤退をするべきだ。そう思いカウンターのスツールからそっと腰を浮かせたところで
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