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    めざしねこ

    @yakisoba13pan

    十三機兵にハマって、比治沖に転がりました。

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    めざしねこ

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    昔BOOSTの御礼に入れていた話です。
    二冊目の頃なので2023年末~2024年初めの頃。

    御捻り「お、沖野! 御捻りをいただいてしまったぞ!」
    「おひねり……また……」
     「古風な言い回しだね」という言葉は飲み込む。からかうつもりではないが、文化の違いを指摘することで揶揄されていると感じることもあるだろう。比治山くんの時代ではその言い方が適切なのだろうから、余計な一言は言わない方がいい。
    そして近づいて来た比治山くんがその手に持った御捻りを見せてくれた。白い紙に包まれたそれはまさに「御捻り」と呼ぶのにぴったりの様だった。
    「すごい。この状態、初めて見たよ」
    「本当か? 祭の時などに投げられたりしなかったか?」
    「え……いや、ないな」
     僕が普段ほとんど外に出ることがなかったからなのか、僕らの時代にはもうその文化がなかったのか……首を傾げていると比治山くんは驚いた様子でこちらを見ていた。
    「そうか。祭で太鼓をたたいたりしてな、御捻りを貰うと『小遣いだ!!』と子供心に喜んだものだ」
    比治山くんは懐かしそうに語ると、包みを開いた。
    「おおお! ありがたい!! この金で焼きそばパンが買えるぞ!」
     頂いた小銭を握りしめ、満面の笑みを浮かべている。すごく嬉しそうだ。そのまま「貴様の分も買ってきてやるから待ってろ、沖野!」と、比治山くんは出掛けてしまった。
    あの勢いだとすぐ帰ってくるだろう。帰ってきたらすぐにお茶が飲めるように、僕はお湯を沸かす。そこで一つ疑問が浮かんだ。
    「ところであの御捻りは誰からもらったんだ?」
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    めざしねこ

    MOURNING七夕の次の日に書き始めて、書けねぇ……書けねぇよぅ……ってなりながら七月が終わりそうになったので、こちらに供養します。
    あんまりまとまってなくて恐縮です……
    たなばたの話 沖野の部屋の前まで来ると呼び鈴を鳴らして反応を待つ。すぐにロックが解除された音がして、ドアが開いた。部屋の奥まで進むと、沖野は真剣な顔でモニターを見ていた。
    「呼び出してすまなかったね」
     こちらが見ているのに気付いたのか気付いていないのか……その口からは謝罪の言葉が出るものの、こちらを見ずに画面から目を逸らさない。謝罪の態度ではないが比治山は気にならない。
    「構わん、どうせ時間はある」
     そのまま比治山は部屋においてあるソファに座る。作業部屋にソファを置いたのはこうして比治山が作業中の沖野を待つことが多いからだった。今日もいつも通り作業をこなす沖野を後ろから眺める。左のモニターの数値を見ながら、右のモニターへ入力を行っているが、それが一体何なのか比治山は知らない。一度説明してもらったこともあったが、その頃とは違う作業を行っているだろうし、何よりその時も言葉が理解できなかった。適材適所、という言葉を心に刻んだのも良く覚えている。
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