風の日 ゴウゴウと鳴る風の音は耳に入っていた。ただ作業に集中していたから気にならなかっただけだ。ふと時計に視線を向けると、深夜1時過ぎ……一般的にはもういい時間だ。けれど僕にしてはこれからが作業時というタイミングで集中力を欠いた上、随分と耳障りなこの音を無視して作業に戻ることは出来なさそうだった。
「……眠るか」
たまには早く眠るのもいい。ディスプレイを消すと、柔らかな光を放つ間接照明の光だけがぼんやりと室内を照らしている。その光を頼りにベッドに入り込むと照明を消した。
暗闇の中、目を瞑る。
唸る風がぶつかり窓を叩く……その音がやけに耳についた。
拠点の窓は風などで壊れたりしない。石が飛んできたって銃弾が飛んできたって弾き返すだろう。それでも何故か完全防音になっていない。無視して眠ろうとするが、そう思えば思うほど耳が風の音を捉えてしまう。
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