調子外れに2人きり オキーフの部屋には年季の入った木製のオルゴールがある。時たま機嫌が良さそうにメロディを鼻で鳴らすので一夜を共にしたついでに出処をせがんだら棚の奥から現れたのがそれだった。
特に大事にしている様子もないが、手に入れてからそのままだと言う箱を開けて中を見ると何かが立っていたのだろう台座と埃で汚れた鏡だけがそこにあった。
ひっくり返してかろうじて巻けるバネを壊さないよう慎重に回すと、ところどころ音が揺れるがしっかりとしたメロディが面白みのないオキーフの部屋を満たしていく。
2人して盛大に汚した体を最低限拭っただけで、衣服も身につけないまま裸足の足で立ちメロディに聴き入るラスティにいつ取ってきたのかオキーフは布を放って寄越す。片手でいつも腰の下に敷かれている馴染みのタオルを受け取りながら意識は目の前のアナログなオルゴールに縫い止められたままで、興味から音が止まる度に何度も何度もネジを巻く。
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