素晴らしき日々 “V.Ⅳラスティ”に同調してバカになったように流れる涙のまま、隣に座るオキーフを恨めしげに睨む。私好みの堀の深い顔が悪戯の成功を喜ぶこともなく、凪いだ色のままスクリーンに向けられている。己の燃えゆく様を真っ直ぐ見つめる彼に、それでもラスティの肩に回された優しい腕が慰めるように愛撫を繰り返す。だから、私は彼の顔を無理に引いて泣き濡れた瞳を晒してこう告げたー
モデル兼俳優として鳴かず飛ばずの活動を続けていたラスティがここまで大きな箱で開催される試写会に参加するには訳がある。理由は簡潔、鳴かず飛ばずの活動はもはや過去のもので、『アーマードコア』のキャストに抜擢されて以来ラスティは超売れっ子だ。
顔が良いだけで学もツテもない子供が手っ取り早く稼ぐ方法、それが芸能界だった。ラスティは生まれた時から顔立ちは良かった,母との二人暮らしの中、育児放棄され薄汚い姿であっても霞むことのない程度には。運よくスカウトに拾われてから要領の良さも功を奏して雑誌のモデルだの、子役だのとそれなりに稼いできた。
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