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    ex_manzyuu88

    @ex_manzyuu88

    (らくがきと小話用)
    あんスタ(腐) 十条兄弟(右固定)と巽要中心

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    ex_manzyuu88

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    書きかけでオブリが始まったので供養

    茨と燐音その病室には、静寂だけが横たわっていた。
    ㅤてっきり「彼」と同じ顔の住人が居るとばかり思っていたのに、窓から差し込む太陽光に照らされた室内は訪れた人間を拒みもせずにそこにある。
    ㅤ綺麗に整えられたベッドには人がいた形跡もなく、見舞いであろう生花の鮮やかな青だけが目に眩しい。それ以外は白一色で形作られた、何もない世界。
    ㅤけれど茨は、確かにそこを指さして言ったのだ。
    ㅤHiMERUが仕事で不在の時間を見計らって『HiMERU』に会わせろと詰め寄った燐音に向かって。
    ㅤこれが『HiMERU』の正体だ、と。
    「意味わかんねェ」
    「つまりは存在しないという事ですよ」
    ㅤ淡々と事実だけを告げる茨の声に、燐音は努めて冷静でいられるよう、態とらしいため息を吐いた。
    ㅤユニットを組まされる前、茨から与えられた情報は確かに「彼」の行動と一致するものだった。
    ㅤ『HiMERU』のためHiMERUとなった「彼」。言動と行動が一致せず、妙に達観した振りをして自分を外に置きたがるのも、それが原因だと納得して居たのだが。
    「なんで黙ってた」
    「事実を知れば、HiMERU氏を使えなかったでしょう?」
    「……あン時の俺っちだったら、なんだって使っただろ」
    「恩人である椎名氏も、境遇に似たところのある桜河氏も、ライブにしか呼びつけなかったのに、ですか?」
    ㅤ使えるわけがないでしょう。
    ㅤそう鼻で笑った茨は、けれど直ぐに視線を誰もいないベッドへと流した。
    ㅤそこに侮蔑の色はない。だからといって憐れむような意図もなく、燐音とは別のものでも見ているかの様だった。
    「HiMERUというアイドルが例の革命で不調を来たし入院したのは本当です。ただ、それだけならば彼は暫くすれば復帰出来たでしょう、問題は……」
    「例の聖人野郎か?」
    「まぁ、半分は正解でしょうか……原因を作ったのは確かに風早氏ですし、あくまでも希望的観測ですが、彼がここに辿り着いていれば何か1つくらいは好転させることも出来たのかもしれない」
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