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    チキバンバン

    絵!?

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    POIPOI 14

    アナザーイーライとニャット

    アナザーイーライ邂逅人間、動物、命あるもの全ての殺気を感じ取ることができるがこの男にはそれが全くと言っていいほど無い。凪いだ水面のような、
    恐ろしいほど静かなこれは


    ───怒り。

    「んもぅ!アタシの話聞いてんのかね?!」
    「貴方、誰ですか」

    認めたく無い、知りたく無いと本能が拒絶している。

    ペンキを被ったように真っ黒で、内側は緑の髪を無理やり一つにまとめ、細く骨ばった指先には煙草。こちらへお構いなしに毒煙を撒き散らす。目の前の男は此方の心情を知ってか知らずか深い隈を蓄えた目を細めて微笑う

    「だぁから言ってるデショ、イーライだってば」
    「」

    これ以上喋らせると判断が鈍る。容赦なく顔面目掛けて拳を振り下ろす。
    どうしようもなく優しいあのひとを名乗る見知らぬ男。何処も似ていないはずなのに、ストレスが溜まりに溜まったあの人が隠れて吸う銘柄のにおい、声音、左手の癖。何処をとっても脳が乖離してくれない。同じだと本能が叫ぶ。

    振り下ろした拳は空を切り、放り出された身体の反動を利用し、鳩尾を狙ったその時、ぐるん、と世界が反転した
    男の脚に押さえつけられていた。一瞬の出来事。ニャットの知るあのひとはこんな力は無いはず。的確に関節を封じられ、倍近く差があるはずの体格を以てしても身動きが全く取れない。

    「手癖がなってないネ。まずお兄さんの話を聴きなさいって」
    「ぬ、ぐ、」
    「ちょっと、マジ?折れるわよ」

    動かない関節を無理やり動かそうとみし、と骨が軋む音がする。お構い無しに力をかけるとニャットに乗り掛かる男の身体が一瞬、宙に浮いた。
    まずい、と男はすかさず顎下目掛けて脚を振り上げた。直撃。鈍い音、手応えはあった。
    常人なら脳震盪で動けない程の衝撃

    常人なら

    「うっそぉ…立つの?ヤバ」
    「……あ"、ィ"」
    「ちょっと平気?じゃあないか、キミが本気でくるからお兄さんちょっと出ちゃったじゃない」

    ゆらりと大きな身体を起こし、激しく散る火花を瞬きで消そうとしたが諦めた。血管がジクジクと脈動して激しい眩暈がする。何処から血が垂れてるかわからない。顎の骨がやられてうまく発音できない。驚いた、その華奢な身体からこんな力を出せるなんて

    「こんなことしてる場合?他にやるべきことがあるデショ? アタシのそっくりさんと、お兄ちゃん探すんでしょ?」

    何故それを、と口にしたはずがだらだら流れる血と、唾液で阻まれた。

    「アタシはイーライ・マイヤーであってキミの知ってるイーライではないもの。
    安心して今はかわいいキミのためにちょっとだけズルして来ただけだから」

    男は舌を出してバッチリとウィンクして見せた。
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