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    mmikumo

    @mmikumo 文を書きます。ツシマの石竜、刺客と牢人好きです。渋くてカッコ良い壮年以上のおじさまたちをだいたい書きます。

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    mmikumo

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    現代【石竜、テンゾ&仁、牢人と刺客】が酒飲んでるだけの話です

    酒飲み「先生、笑って~」
     大層機嫌良く、行儀悪く酔っぱらった竜三は、何が楽しいのかへべれけの顔をスマホで撮影している。
     酒臭いゴリラに肩を組まれ、強引に小さい画面に収まるように撮られて思わず無の顔になった。
    「お前、それをどうする気だ」
    「仁に見せるー」
    「バカ、止せ」
     へへへ、と笑いながらしでかした。絶対に、ろくでもないことになる。
     複雑な顔をする仁、そしてそれを見る志村、その怒りの矛先の向かう先は…地獄のドミノ倒しの幕開けだ。
    「お前、ほんっとにやらかしてくれたな」
    「何でぇ?」
     戦犯はふにゃふにゃと横になり、すやすやと眠り始める。
    「なるようにしか、ならんか」
     気付けのように飲んだ酒は、苦かった。

     カランカランと、ベルが大きく鳴る。最後の客を送り出した後に入ってきたのは、仁であった。カウンターの中で片付けを始めるか、と袖を捲っていたテンゾーは驚いた顔で仁を見た。
    「どうした。今日はシフト休みだろ」
    「客として来た。飲ませてくれ」
     もうすぐ、日付が変わる。そんな時間に過保護な保護者は何も知らんのか。
     どのように行動すれば保護者を怒らせないかと頭を過ったが、テンゾーは仁の顔を見て、その考えを消し去った。
     いつもだいたい穏やかな好青年が、見るからに荒れて落ち込んでいる。
     テンゾーはその非常事態に、グラスを2つ取りだし、残った惣菜を見繕って温めた。
    「悪いな、残り物しかないが食うか?」
    「食う」
     仁がぐっ、とグラスを傾けチキンにかぶりつく。夜中のやけ食いやけ酒とは、今日は随分悪い子だ。
    「竜三が、先生と飲んでる写真を寄越したのだ…」
    「うん」
    「それを見たとき…何かモヤモヤした気持ちになった。友達なら、楽しそうだな、とか俺も呼べとかそんな風に思うだけだろうが…何か、頭が熱くなって…」
    「…うん……」
     テンゾーはパエリアの残りを食べながら頷いた。その感じは自分にも覚えがある。
     嫉妬とか、寂しいとか。自分では何ともできない、たちの悪いやつだ。
    「…今までずっと、竜三の隣には俺がいたのに」
    「んー……」
     グラスを空けて、今度はしょんぼりとしたので、テンゾーはもう一杯注いだ。
    「寂しいな…俺も若い頃はそういう思いをしたこともあったよ」
     テンゾーが手を伸ばし、仁の頭をぽんぽん、と撫でる。仁がよしよしを享受してから、顔をあげた。
    「テンゾーさんは優しいな。先生よりずっと性格も良い」
    「御大と比べられてもな。まあさ、今日は飲め。気がすむまで付き合うぞ」
    「テンゾーさん…」
     はや、少し頬を赤くした仁が感激した顔で言う。
     弱った奴はどうにも見過ごせない。テンゾーは温めたミネストローネを差し出しながら、本腰をいれて向かい合った。

    「おかしら!飲んでる」
     突然の通知音、スマホを弄っていた白と青が色めき立つ。今日は良い魚を手に入れたから鍋で飲む、と4人で集まった。犬とねこと遊ぶ白と青をよそに、いつまでも飲んでいた医者の伊吹と、元傭兵の十郎は顔を見合わせた。
    「ラインか」
     それぞれのスマホにも通知が来ている。何やらかわいい系のポーズをとる竜三と抱き寄せられた石川御大。家飲みらしい。竜三の、ちょっとよれたTシャツからのぞく胸は今日もすごいでかい。谷間がある。谷間には毛が生えているが思わず見てしまう。
    「立派な大胸筋だな」
    「なんかつい目が行くよな」
     わざわざ拡大してそこを眺めていると、しばらくしてテンゾーと仁の写真が現れた。
     夜のテンゾーの店、仁とたぶんテンゾーの見切れた映像。初めての自撮りのように傾いた画面。こっちも楽しくやってる、と添えられた仁のメッセージの日付はとおに変わっている。
     ムードのある店内でぴったりと身を寄せあってるテンゾーと仁。心持ち逃げの体制のテンゾーの腕をぎゅっと抱きよせる仁のほんのりとろけた顔はレアだ。 
     伊吹と十郎は再び顔を見合わせた。
    「匂わせみたいな画像だな。張り合ってんのコレ?」
    「ぶれてるし、酔ってるしただ撮影下手なんだろ」
     伊吹が怪訝そうな顔で顎髭を撫でる。
    「にしてもこりゃあ…あの過保護殿が見たらよ」
    「…気にするな、百鬼帯の話だ。黄金で右往左往してる俺らにゃ、雲の上で嵐が起こるだけだから関係ない」
    「うん…それもそうだな…そうあってくれ」
     そう言って二人、遠い目で白と青を見る。
     ラインには酒に反応した行善がオススメのつまみレシピを乗せ、白青がおれに作れ!と伯父御が仁に迎えに行くから返事をしなさい!と呼び掛けて無視されている。
    「オンライン飲み会するか!」
    「お前までやらかすのはよさんか」
     混沌にきゃっきゃする白を伊吹が嗜める。
    「今日も平和だな」
     牢人ふたりは通知を切って、再び酒を飲み始めた。
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