Chetty's lullaby 不夜城のバーは夜通し灯をともし、眠れぬ人々がふらりと現れてる。そして幾ばくかの酒を舐めて、優しい闇にたゆとうのだ。
今夜はそんな眠れぬ人々の一人となったユウイチは、カウンターの隅に一人腰掛け、静かにグラスを傾けていた。
かすかに聴こえる静かなジャズは、チェット・ベイカーのChettys lullaby。甘くまろやかなメロディが、眠る間際の自分を甘やかすには丁度良い。
柔らかなソファに身を預けて思い思いに過ごす人々は、いつも意外と多いものだ。
真夜中担当のバーテンダーとすっかり顔馴染みであるユウイチは、いつものように眠れぬ夜の一杯を頼んだ。
コリンズグラスを氷で一杯に満たした、琥珀色の飲み物。ランプの光を溶かし、カウンターに影を透かす。
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