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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    タイカケ
    付き合ってるかも知れない

    「はぁ……」
     真夜中、洗面台で顔を洗って深々と溜息を吐く。夜中、嫌な夢を見て目が覚めて、あまりにも気分が悪かったので顔を洗った。どんな夢だったかは、正直よく覚えていない。だけど、目覚めた時に泣きたくて悲しいきもちになった。悲しい映画を見た時や、鬱屈をした小説を読んだ時の気分に似ている。
    「寝れるかなぁ、この後」
     明日は休日だから、ゆっくり眠りたかったのに。
     ここ最近、期末のせいで仕事が忙しくあまり眠れていないのだ。だからこそ、休日前の睡眠はとても大切なのに。
    「カズオ?」
     びっくりして顔を上げると、ペットボトルを持ったタイガきゅんが、廊下に立っていた。
    「わ、びっくりした。どしたの?」
    「喉渇いて目が覚めた。おめぇこそ、どうしたんだよ」
    「いやぁ、嫌な夢見て目が覚めた」
     答えると、タイガは俺の方にそっと寄ってきた。空いた方の手で、優しく俺の頭を撫でる。えぇぇ、うそ、タイガが俺を……甘やかそうとしてくれてるの?
    「悪い夢って、他人に話した方がいいらしいぞ」
    「ん……でも、話の内容よく覚えてないんだよね」
    「はぁ?」
     タイガは不思議そうな顔をして、首を傾げる。寝癖のついた髪がさらりと流れる。
    「夢の内容は覚えてないけど、なんか、嫌な気持ちだけが残ってて……この後もう一回寝られそうにないにゃぁ~」
     タイガは黙って俺を見ている。なんでだろう。タイガがいつもよりも、綺麗でカッコよく見える。
    「もし、さ、おめぇの部屋行っていいなら、一緒に寝てやろうか?」
    「え……」
    「ほら、おめぇのベッドでなら、並んで寝れるだろ?」
    「……うん!」
     タイガが横にいてくれたら、嫌な気持ちを忘れて眠れそう。俺が頷くと、タイガはそっと俺の手を取った。そのまま優しく手を引いて、俺を部屋へと誘導してくれる。抜け出してから暫く経っていたベッドは冷え始めていたけど、すぐに二人分の体温で温かくなった。
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