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    azusa_n

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    azusa_n

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    チェズルク。お互いに相手をスキンシップが好きなんだと思ってたら可愛いなと。性愛については考えないようにしてるタイプのチェズ。

    ボスはスキンシップが好きだ。
    私が彼に触れる事を厭わなくなって以降、触れる度に表情が和らぐ彼を見るのがどれだけ心地の良いことか。
    頭を撫でた時、「僕をいくつだと思ってるんだ」と口を尖らせても、抱き締め返した手は私の腰を掴んだまま私の愛を受け止めてくれる。どこまでもスイートな方だ。
    抱き締めるだけで緊張で心音が早くなっていたのも最初だけ。慣れれば緩やかで心地良い音色を紡ぐことができる安心できる場所になったようで、私の腕の中で眠ってしまったときの幸福と言ったら。
    起こさないよう彼の寝室へ連れて行き、寝息と心音をずっと聞いている至福の時間。目を開けて最初に見るのが私と言うのもとても良い。常夜灯の薄明かりの元、一晩眺めていても飽きることはなかった。

    優しくて暖かい、私の日溜まり。私のような悪党すら絆してしまう。

    ハグだけでは物足りなくなって、額へ、頬へキスをした。新しいことをする度、緊張で強ばる体中が緩むまで何度となく繰り返す。
    幸せな音と体温。そのはずなのに、どうしてだろうか。満たされるほど不足する。
    もっと彼の熱が欲しくてたまらない。

    「今のボス、とてもスイートです」
    「君のそれ、本当によくわからないって」
    「そうですねェ。 ボスが甘いものを前にした時の心地に近いかもしれません。たまにやっていますよね、プリンが乗った皿を揺らしたり、マシュマロを指で弄んだり」
    頬を緩く摘まんで、柔らかさを楽しむ。
    少し不服そうな、それでも仕方ないなと受け入れる優しさ。触れる度、体温が混ざり合う心地よさ。なにもかもが愛おしい。
    「このまま愛でていたいような、早く食べてしまいたいような。 …そんな心持ちに近いかと」
    親指で唇をなぞると柔らかくて心地良い。間食はマシュマロに近いが、少しカサつく場所がある。後程リップクリームを塗ってさしあげよう。
    「………………、…ええと、つまり……食べる…?」
    「痛いようなことはしませんよ。ものの例えです」

    唇へとキスを落とした。
    瞳が大きく揺らめいて、頬が染まる。
    高鳴る心音は澄んだ音色を保って、いつもより速い別の曲を奏でる。どんな高名な音楽家のものより私を虜にする、私のためだけの愛の歌。
    「チェズレイ、……今の」
    「あァ…。 ……愛しい、とはこういう時に言うものなんですね」
    何かを言いかけた口が閉じられた。
    マシュマロのような唇を食む。唇を当てているだけなのだから痛いはずはないが、食べるというのも当たらずとも遠からずかもしれない。

    「……もう、君がいいならそれでいいや」
    心地よく受け取っているのは顔色からも心音からも簡単に分かること。本人の言葉だけがほんの少し素直ではないが、私がしたいから好きにさせているという逃げ道で素直になってくれるなら、それで構わない。
    このまま彼に溶けてしまえたら。そんな荒唐無稽な事は人の身では叶わないけれど。
    抱き返されるその行為自体が、愛そのもののようで、暖かくて心地良いのだ。


    ─────



    チェズレイはスキンシップが好きなんだと思う。
    最初は潔癖症だ、触れないでくれなんて言っていたのに、気が付けば夜毎、寝る前に抱き締められるようになっていた。
    最初は大丈夫なのかとヒヤヒヤしていたけど、無理している様子もないし、僕を抱き締めている時はとても嬉しそうだから断る理由なんてない。
    彼のハグは暖かくて、おまじないの時と同じ音がして、いい香りがして。ドキドキするのに落ち着く不思議な感覚だ。
    一度、落ち着きすぎてそのまま寝てしまって、気付いたら僕のベッドに移動していたことがある。起きたら目の前にチェズレイがいて、抱き合った状態で僕を見ていた。
    僕が起きたことに気付いたら、「……まだ夜中ですから眠っていていいですよ」って、額にキスされて。そのまま背中をトントンって、子供にするみたいにあやされて、疑問に思うよりはやくまた寝付いてしまった。なにをやってるんだって話だけど、夢うつつに見た視線が優しくて、止めるタイミングを逃してしまった。
    それ以降、段々と行為がエスカレートしている気がするのに、あの視線を見るといつも指摘できなくなってしまう。
    嫌なんじゃない。その逆だから困るんだ。

    ついには唇にキスをされた。
    そんなの、恋人がすることなのに。
    でもチェズレイからは下心もなにもなく、ただ僕を想ってくれてるんだって分かってしまったから。
    今の関係を壊したくなくて、僕からは好きだも愛してるも言えやしない。言葉にしたら、流石に聡い君は僕の下心にだって気付いてしまうだろう。それはきっとチェズレイの望んだ形じゃない。この甘くて暖かい時間が崩れるのは僕だって耐えられないから。
    代わりに、ただぎゅっと抱きついた。チェズレイのことを大好きだって示せるように。
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