呼び名 知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる。そんなはずはないというのに。
青い深い色の海に浮かぶ、木々の緑に包まれた島。乗ってきた空竜を放つと、空をくるりと一回転してから嬉しそうに飛び去っていった。
髪の間を通り抜けて攫っていく海風も、真上から降り注ぐ力強くてあたたかい陽光も、どこか覚えがあるような気がする。
荷物を肩に担ぎ直したダイがうわあ、と嬉しそうにきらめく太陽の光に目を細める。その黒い髪色に日差しが透けて焦茶の色に輝いた。
「懐かしいなあ!……ここはいつでも、変わらないな」
今日みたいな天気だと、ちょっと暑いくらいだね、と振り返ってダイが溢れるように笑う。その微笑みに、ああ、この人のまとう雰囲気が、この島の空気と同じなのだとラーハルトは思った。
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