FF14幻想譚 Spieldoseの日常2※このSSには多分に妄想が含まれております。本当はもっと和気藹々としたほんわかFCです。
「あぁん?なんだお前新入りかぁ???」
「いえ、あの……」
酒の勢いに任せて幻想薬という種族を一時的に変える薬を飲んだことまでは覚えている。
それが何故、フリーカンパニー(FC)の庭先で正座する羽目になっているのだろうとミコトは思いながら言葉を濁していた。
ミコトは酒に弱い。
9割がた炭酸で割ったエールですら顔を真っ赤にして倒れるような質なのだ。
今日飲んだ酒量は明らかにその度量を越したものであったし、自分が酒に酔っている自覚もあった。
だからこそ、両親にもらったアウラの身体を捨ててララフェルに幻想したのだが。
「新入りにはよぉ……シキタリってヤツがあんだよ……」
FCの皆にイジられ新入りとして障られるのはまたいつもと違った新鮮味があった。
「いちおう、前と同じ幻想を意識して変えたつもりなんですが……」
とはいえ、前にも一度、同じように幻想を割った身としてはなかなかに面白い展開であった。
「Spieldoseララフェルの新入りにはよぉ……」
溜めに溜めてFCマスターが言う。
なんとなく、予想は付くくらいの間柄ではある。
「ララフェルようちえん年少さんとしての立場ってモノを弁えてもらわなぁとなぁ!!!」
ララフェルは見た目では年齢の分かりづらい種族であるとはいえ、ようちえんとはなんなのか、ミコトはツッコむことを既に諦めていた。
「まずはアレだ!ハウスの屋根まで登ってみろ!」
悪ノリに悪ノリを重ねたFCメンバーの要求とあっても、曲がりなりにも古参な方のミコトには容易い課題であった。
いつも通り、世界の物理法則をハナで笑う謎の技術で屋根に上がりどうだとばかりにより一層薄くなった薄い胸を張る。
「次は木登りだ!お手本を見せてやる!」
そう言ってFCマスターが極北に生えたヤシの木という謎の物体に刺さる。
木登りと言ったが完全に刺さっている。
物理法則はこの際無視してミコトも同じようにヤシの木に登る。
これも一度見てしまえば容易い事だった。
数度のチャレンジを経てヤシの木に登り(刺さり)ミコトは再びより一層薄くなった胸を張った。
「いいだろう!ここまで来れるならララフェルようちえんの年中さんの称号をやろう!」
別に要らないのだけれど。と心中で思いながらも、ミコトは幻想の一夜を楽しんだのであった。
尚、余談ではあるのだが、ミコトの実父は酒に酔ってずっとソファーで寝ていたのだった。