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    slow006

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    第14回 菅受けワンドロワンライ、「とろける」及菅で参加させていただきます。

    #及菅
    andKan

    第14回 菅受けワンドロワンライ「とろける」夏が終わり涼しい秋へ、と思いきや異常気象により一気に真冬の寒さとなった。つい先日まで真夏日を観測していたのだ。当然寒さへの備えなどなく、寝具は夏使用のまま。どうにかこうにか引っ張り出した毛布のみが頼みの綱である。次の休日、防寒に向けて環境を整えようと及川と菅原は約束……したものの、それまでは寒いもんは寒い。ましてや菅原はバレーを辞めてから随分経ち、筋肉がないわけではないけれど現役の頃よりは確実に基礎体温が落ちている。そんなこんなでここ数日は及川にひっついて眠る。夏の間は暑いからくっつくなと及川を冷たくあしらっていたくせに、とんだ手のひら返しである。
    とはいえ、及川とて満更でもなく、この状況を享受していた。腹に回る手、足は少しでも温度を得ようと及川の足に絡んでいる。背中側は見えないけれど、顔から腰まで沿うようにぴったりくっついているのがわかる。これでもまだ寒いのか、埋まるのではないかというくらいに擦り寄ってくるものだから、及川は一度菅原からの拘束をほどき、寝返りを打って菅原を腕の中に収めた。

    「寒い?」

    抱え込むようにした菅原のつむじに向かって問いかけると、聞き取れるかどうかのギリギリラインの小さな声で「寒い」と返ってくる。うなずいたのか、頭が揺れた拍子に髪の匂いが香る。菅原と及川はそれぞれ別のシャンプーを使っているものの、今日は及川のシャンプーの匂いがする。また勝手に使ったなと普段よりツヤのある髪をそろっと撫でた。
    この様子だと、休日を待たずにさっさと羽毛布団を出したほうが良かったかもしれない。顔を上げないあたり本気で寒いんだろう。先ほど寝返りを打った時に布団の隙間からひんやりと空気が入ってきた。そのせいもあるかもしれない。悪手だったかとも考えたが、体格差を考えればたぶん前に抱えたほうが温まるはず。現に、胎児のように縮こまった菅原は及川の腕の内に、身体にすっぽり収まっている。

    少しずつ少しずつ毛布のなかが温かさを取り戻して、だんだんとポカポカしてくる。及川としては暑いくらい。寒さでかちこちに縮こまっていた菅原も気がつけば弛緩していて、かすかに身体が伸びている。体温も背中にくっついていたときより、高くなったんじゃないだろうか。このまま眠れると良いなと及川がもう一度髪を撫でると、ゆっくりゆっくり菅原が顔を上げた。

    「あったまってきたぁ」
    「そりゃ良かった」

    就寝前、なまっちろくなっていた顔はすっかり血色が良くなっている。眉はゆるく垂れ下がり、温まって眠気がきたのか目はとろけて焦点がちょっと怪しい。「そのまま早く寝ちゃいな」と言えば、「うん」気の抜けた声が返ってくる。それから、布団の間を滑ってのろのろと伸びてきた腕が及川の背中に回り、とろけた顔は及川の胸に埋まって見えなくなった。そんな菅原のすっかり預け切った様子に及川の頬も自然と緩む。だらしない顔をしているのがバレませんようにと及川も菅原のつむじに顔を埋め、そっと目を閉じた。

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    slow006

    DOODLE第15回 菅受けワンドロワンライ、「映画・特別」及菅で参加させていただきます。
    映画は「フォレストガンプ」です。面白いので良かったら見てください。1994年だと「天使にラブ・ソングを2」もおすすめです。
    第15回 菅受けワンドロワンライ「映画・特別」―― My momma always said,”Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.”

    スクリーンに文字が流れ切ると一瞬、視界が真っ暗になる。それから一拍ほど置いて照明がつき、同時に静まり返っていた劇場内は賑やかになった。同行者と話し始める人、荷物の整理を始める人、足早に席を立つ人など、さまざまだ。菅原と及川は席に座ったまま、人が捌けるのを待っていた。

    菅原がときおり訪れる映画館では、名作映画を週替わりでリバイバル上映している。上映される映画は、菅原が生まれるより前のものであったり、まだ幼く映画館に訪れることがなかった時期のものだったりと、古くても目新しいものがほとんど。なかには、昔から映画番組で何度も観たことのあるものもあったが、テレビで観るのと、映画館で観るのとでは、没入感や臨場感、ストーリーの理解度が段違いだった。要は映画にしっかり向き合えるのだ。この週替わりの上映を菅原は気に入っていて、めぼしい映画をチェックしては、映画館に足を運ぶ。この日観た映画は、アメリカのヒューマンドラマ映画で及川と菅原が生まれた1994年に公開されたものだ。たまたま上映日と及川の帰国が重なり、菅原は及川を誘って映画館にやってきた。
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    slow006

    DONE第14回 菅受けワンドロワンライ、「とろける」及菅で参加させていただきます。
    第14回 菅受けワンドロワンライ「とろける」夏が終わり涼しい秋へ、と思いきや異常気象により一気に真冬の寒さとなった。つい先日まで真夏日を観測していたのだ。当然寒さへの備えなどなく、寝具は夏使用のまま。どうにかこうにか引っ張り出した毛布のみが頼みの綱である。次の休日、防寒に向けて環境を整えようと及川と菅原は約束……したものの、それまでは寒いもんは寒い。ましてや菅原はバレーを辞めてから随分経ち、筋肉がないわけではないけれど現役の頃よりは確実に基礎体温が落ちている。そんなこんなでここ数日は及川にひっついて眠る。夏の間は暑いからくっつくなと及川を冷たくあしらっていたくせに、とんだ手のひら返しである。
    とはいえ、及川とて満更でもなく、この状況を享受していた。腹に回る手、足は少しでも温度を得ようと及川の足に絡んでいる。背中側は見えないけれど、顔から腰まで沿うようにぴったりくっついているのがわかる。これでもまだ寒いのか、埋まるのではないかというくらいに擦り寄ってくるものだから、及川は一度菅原からの拘束をほどき、寝返りを打って菅原を腕の中に収めた。
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    slow006

    DOODLE性欲なしに、ただただ菅原のことぎゅっとしたい及川書きたいなと思って、書き進めていたけれど、急にスンッってなってしまったので、途中で終わる。及川は「スガちゃんって俺のことでかい犬だと思ってない?」って思っているけど、菅原は及川のこと「でけぇ猫みてぇだな」と思っている。
    拝啓、地球の反対側の人洗剤の匂いと肌の匂い。硬い骨と柔らかい肉の感触。じわりと身体を侵食する温度。柔らかそうだと思っていた色素の薄い髪は想像よりも硬く、それでもさらさらと心地良かった。じっとしていると衣服越しにも鼓動を感じて、呼吸の度に胸が動くのがわかる。背中に回される手に安心した。ときおり、大きい犬だとでも思っているんじゃないかというようにわしゃわしゃと髪を掻き回されるのも嫌いじゃなかった。


    性欲と人恋しさが異なるということを遠くの街に来てわかった。
    慣れない土地、慣れない気候、慣れない言語。唯一言葉がいらないコミュニケーションツールのバレーも、なんだか勝手が違うように感じて上手くいかない。何もかもが目まぐるしく、ついていくのがやっと。そんなこんなで、寂しいだとか、帰りたいだとか、思っている暇はなく、気がつけば及川が日本を出てから半年が経っていた。
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