Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    281289s

    ワンクッションほしいものを置いてます(さほどえっちくはないです)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 15

    281289s

    ☆quiet follow

    お互い大好きなのに、片思いと思い込んだまま事故るイデアズ
    https://poipiku.com/595058/8494495.html

    ※煽り愛
    ※切ないすれ違いのえっちからウルトラハッピーエンド
    ※R18になる
    ※お互い思惑があり相手を出し抜こうとする
    ※更新目安4~5000前後
    ※💀視点が終わるくらいまでを掲載予定
    (■序💀→🐙視点)
    ※完成できそうならまとめて本に

    #イデアズ
    ideas

    Good luck 1 どうして、こんなことになっちゃったんだっけ?



     聡明なはずのイデアの頭脳は今、機能を停止していた。
     ベッドの上で、大好きな子が、自分の腕の中に収まっている。
     いや、実際は、そんな風に甘く色めいた表現がゆるされる状況ではなかった。
     イデアの左手はアズールの手首を掴み、右手はその肩を押さえ込んで、膝は細い腰を跨ぎ、その身体をベッドに縫い付けている。
     皆が寝静まった、夜中の0時過ぎ。オクタヴィネル寮内のアズールの部屋で、イデアは、アズールを強引に押し倒し、その身体をベッドに組み敷いていた。
     部屋の灯りは、窓から差し込む海水越しの、仄かな月明かりだけ。
     ゆらゆらと頼りなく淡い光ではあったが、イデアからはアズールの姿が良く見えた。いつもかけている銀縁の眼鏡を、外しているせいもあるかもしれない。息を呑み、驚愕に瞳を見開きながら、こちらを見上げているアズールの表情が、はっきりと見えた。
     イデアは自分の行動に理解が追いつかないまま、目の前の、空色の青い瞳の中にゆらめく光と、その瞳に影を落とす長い銀色のまつ毛を呆然と見つめ、綺麗だな、などとぼんやり思った。もっと考えなければならないことが、あるはずなのに。
     艶やかな乳白色の布に、アズールの頭部が沈んでいる。勢いよく押し倒したせいで、アズールの前髪は乱れ、形の良い額が露わになっていた。見慣れたはずのアズールの顔が、幼く無防備に見えて、イデアは身体の内側をざらりとしたもので撫でられるような、落ち着かない心地になった。枕には柔らかそうな銀色の髪が散らばり、その上を覆うように青い炎が寄り添っている。
     幸いと言おうか、イデアは混乱していたため、毛先をピンクに染めて内心を暴露してしまうような、恥ずかしい事態は免れた。
     上から覆いかぶさる姿勢のイデアの髪は、アズールの肩や胸元にも垂れ落ちている。
     まるで己の髪に埋もれるようなアズールの姿に、押し倒した張本人であるはずのイデアは、アズールと同じように、驚愕した表情で息を呑んでいた。
     アズールは、シーツの色によく似た乳白色の薄いパジャマ一枚という姿だった。対するイデアは、S.T.Y.X.の制服姿だ。いつもの、ランニングにパーカーというラフな格好に比べ、しっかり着込んで手袋までしているというのに、きつく抑え込んでいるせいか、手のひらや太ももから、柔らかい肉の感触と自分とは異なる体温が、じわじわ伝わってくるのがわかった。イデアには、布ごしの微かなぬくもりと柔らかさが、逆に生々しく、艶かしく感じられた。

     ことの始まりは……、ことを始めたのは、イデアの方からだった。
     しかし今の状況は、イデアの想定していたものとは、大きく異なっていた。むしろイデアは、アズールを、こういった事態から守るために、計画を実行に移したはずだったからだ。
     
      ■  ■  ■

    「アズール氏! ポイントカードの報酬で、レンタル彼氏的な事してるってマ?!」
     部活動の時間、イデアはアズールがボートゲーム部室に姿を現すなり、挨拶を口にする隙すら与えず、早口でまくし立てた。
    「はい?」
    「で、デートとか、してるって……」
     最初こそ、イデアの剣幕に驚いた様子で目を丸くしてみせたアズールだったが、会話の内容を理解すると、なんだそんなことか、と言わんばかりに、「ああ」と、そっけなく受け流した。
    「ああ?!」
     思わず復唱したイデアに見向きもせず、アズールはいつものように、ゲームが収納されている棚の方へ足を向ける。
    「ええ。まぁ。結構好評ですよ。恋愛関係の相談が多くて参ります。学生の本分は、勉学だと言うのに」
    「いや危機管理仕事してーーッ!?」
     日頃の、小さく囁くような声からは想像もつかないほど大きな声でツッコミを入れたイデアに、他の部員達は何事かと顔を上げたが、当のアズールは動じた様子もなくイデアに背を向けたまま、ゲームの箱のタイトルを指で辿り物色していた。

     ポイントカードとは、モストロラウンジの新サービスのことだ。カードいっぱい分のご利用ポイントを貯めれば、支配人であるオクタヴィネル寮長に、何でもひとつ、相談できる権利が与えられる。
     相談内容は自由、相談料無料。相談内容は、言葉の通り、何であってもかまわない。追加報酬の支払いが必要にはなるが、踏み込んだ願い事を叶えてもらうことも可能で、なかでも今アツいのが、恋愛相談……からの、恋人代行サービス。
     あのオクタヴィネル寮長を、恋人として、レンタルできる。
     イグニハイド寮のクローズドな匿名掲示板内で、イデアがその情報を目にした時抱いた感想は、「アズール氏なら、やりかねない」だった。
     掲示板で盛り上がるネタは、そのほとんどがいわゆる「ネタ」にすぎなかった。嘘、大袈裟、紛らわしい。暇を持て余した、妄想力豊かな技術屋陰キャイグニハイド寮生たちが、作業の合間の息抜きに、リアルというクソゲーを面白おかしく脚色したくだらない話で盛り上がる。
     恋人レンタルは、最近アニメ化が決まったばかりの、ライトノベルの題材だった。今回の話題は、そこから派生したものだろう。つい最近までは、人気漫画の影響で、「ヲタクに理解あるギャル系生徒」の話題で盛り上がっていたことからも明らかだ。
     オクタヴィネルの寮長といえば、甘い言葉で人の弱みにつけ込む強欲商人で、一度捕まると逃げられない、平穏に学園生活を送りたくば、その甘言には耳を貸すべからず、可能な限り関わりを避けろ。というのが、幾度となく辛酸を嘗めてきた、イグニハイド寮生達の共通認識だった。
     そんな男の恋人代行話を有り難がって盛り上がるなんて、悪ふざけ以外ありえない。
     どっちが受けでどっちが攻めか、などというくだらないイロモノの冗談ですら盛り上がれる、ヲタク男子特有の悪ふざけだ。
     そもそも、金になるだとか弱みを握れそうだとか、そんなくだらない理由で、恋人の演技をしたり、そのために嘘をついたり、今後学内で顔をあわせる機会もあるだろう相手に媚びをうるなんて、罰ゲームでもお断りだと、普通なら考える。
     それでもイデアは、「アズール氏ならやりかねない」と思った。
     何故ならイデアの知るアズール・アーシェングロットという男は、普通ではなかったからだ。
     相手の優位に立つためならば、普通はしないような努力を、当たり前にしてみせる。その努力も常識はずれで、限度というものを知らない。相手やその場に合わせ、相応しい自分を演出し、真っ直ぐ瞳を見つめながら、嘘がつけてしまう。使えるものは何でも使って、全力で相手の弱みを握り、勝利を勝ち取る。それが、アズール・アーシェングロットだ。
     ゆえに、アズールの名前とレンタル彼氏という単語が並んだ時、イデアの脳裏には、「元手をかけず相手の弱みを握る、最高のチャンスです。ノーリスクな上、コスパも最強。全く、陸の雄はチョロいですね!」と、見惚れるほど良い顔で笑うアズールの姿が浮かんでしまったのだった。
     とはいえ、当の本人に事実確認をするなど、悪手極まりない。まずは信頼性の高いデータを収集し、裏が取れてから交渉の場につくのが最も合理的で、イデアのいつものやり方だ。
     ……しかし、アズールが絡むと、イデアは自分でも想定外の行動を取ってしまう。居ても立っても居られず、先に身体が動いてしまう。そして何故そうなってしまうのかを、イデアはよく理解していた。
    「……気になります?」
     悪戯っぽく笑ったアズールの返答に、イデアは頭を抱えた。
    「いやいやいや! またそうやって利益の為にリスク負ってさぁ!」
     危惧していた通りだと、イデアは思った。イデアが最も心配していたのは、アズールが、この行為に伴う危険性を、全く理解していないのではないか、ということだった。

     アズールは人魚だ。本来、陸の生き物が持つ、動物的な衝動とは無縁の生き物だ。やりたい盛りの肉体の反応や情動、つまりは肉欲や性欲といったものを、いまいち理解していない節があった。
     イデアの問いに、悪びれた様子もなく、些細なことであるかのように認めてみせたのが良い証拠だ。「興味あります?」などと揶揄う態度からも、舐めてかかっているのがよくわかる。
     アズールの中では、ノーリスク、ハイコスパで簡単な手段のひとつに過ぎないのだろう。
    「自分を安売りするの、どうかと思いますぞ!? 絶対勘違いするやつ出てくるから!」
     さらに悪いことに、アズールは、己の身の危険を顧みない傾向もある。なんとかやめさせなければならないと、焦って言葉を連ねたイデアに、アズールは澄ました顔でこう言った。業務内容をプレゼンするかのような流暢さで。
    「安売り? まさか。ご心配なく。事前に契約内容に盛り込んでいます」
    「け、契約?」
    「ええ。僕にはちゃんと決まった相手が居るので、勘違いしないこと!」
    「…………えっ」
     決まった、相手。
     アズールのその言葉に、イデアは目を見開いた。
     どこか誇らしげとも照れ臭そうとも取れる表情と、ごく自然に口から零れた様子のアズールに、イデアは、その言葉が嘘ではないのだと悟った。
    「契約内容を逸脱した場合、僕の望むまま法外な代償を支払っていただく、美味しい契約です。ただの保険ですと軽く流せば、警戒されず締結できる」
     得意げに言葉を続けるアズールは、まばたきどころか呼吸すら忘れて硬直しているイデアの様子に気づかない。
    「……何それ怖っ。逆に相手が哀れ。もはや悪魔の所業、流石と言わざるを得ない…」
     会話にしてはいささか不自然な沈黙のあと、一拍遅れた形で、イデアはいつもと変わらない煽りとからかいの言葉を吐いた。先程までの必死さはすっかりと形を潜めた、いつもと変わらないからかいの言葉を。
    「褒め言葉と受け取っておきましょう。さぁ、席について。今日こそは僕が勝ちますよ!」
     アズールが卓上に用意したゲームは、ここ数日、2人でやりこんでいる高難易度のタイトルだった。延長戦にもつれ込み、決着がつかないままになっているものだ。今日こそ勝利を勝ち取ろうと戦略を練って来ていたアズールは、イデアの笑顔がいつもよりぎこちなく、声音も硬く強張っていることには気づかなかった。
     その後のプレイは、どこか上の空なイデアの長考が過ぎて結局決着がつかず、またも勝敗は次回に持ち越しとなったのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    281289s

    PASTチート💀短編
    ※卒業後、事業家💀と支配人🐙

    💀🐙既刊
    「蛸はエイドスを丸呑みにする」より再録。


    ※紙本(数冊在庫あり)▼
    https://sainome.booth.pm/items/3017970
    「蛸はエイドスを丸呑みにする」「ビルは今、全面封鎖の状態です。皆、外には出ないように。外回りの者には連絡を。足止めしたお客様には、管理システムのテストの影響で、すぐ解除されるので心配ないとお伝えして。それから、至急、全監視カメラの映像の準備を頼みます」
     アズールは的確な指示を出しながらも眉間に皺を刻み、苛立たしげに手袋の上から親指を噛んで、大股で部屋の端から端を、行ったり来たりしていた。
     アズールが人前で表情を崩すことは珍しいが、今回ばかりは致し方ないことだと言えよう。
     イデアとアズールが付き合い始めて、丁度四ヶ月ばかりたった頃。アズールは、忌まわしき学園時代から数えて二度目の、金庫破りの被害にあっていた。
     アズールは、自身の魔法の質との関係もあって、重要な書類は電子化せず、紙媒体として手元に保管していた。電子と違い、物理であれば、接触手段は限られてくる。奪おうとすれば必ず、犯人はその場に姿を現さなければならない。金庫室一帯の魔法を無効化してしまえば、さらに盗み出すことは困難になる。
    10231

    281289s

    PROGRESSお互い大好きなのに、片思いと思い込んだまま事故るイデアズ
    ②https://poipiku.com/595058/8494495.html

    ※煽り愛
    ※切ないすれ違いのえっちからウルトラハッピーエンド
    ※R18になる
    ※お互い思惑があり相手を出し抜こうとする
    ※更新目安4~5000前後
    ※💀視点が終わるくらいまでを掲載予定
    (■序💀→🐙視点)
    ※完成できそうならまとめて本に
    Good luck 1 どうして、こんなことになっちゃったんだっけ?



     聡明なはずのイデアの頭脳は今、機能を停止していた。
     ベッドの上で、大好きな子が、自分の腕の中に収まっている。
     いや、実際は、そんな風に甘く色めいた表現がゆるされる状況ではなかった。
     イデアの左手はアズールの手首を掴み、右手はその肩を押さえ込んで、膝は細い腰を跨ぎ、その身体をベッドに縫い付けている。
     皆が寝静まった、夜中の0時過ぎ。オクタヴィネル寮内のアズールの部屋で、イデアは、アズールを強引に押し倒し、その身体をベッドに組み敷いていた。
     部屋の灯りは、窓から差し込む海水越しの、仄かな月明かりだけ。
     ゆらゆらと頼りなく淡い光ではあったが、イデアからはアズールの姿が良く見えた。いつもかけている銀縁の眼鏡を、外しているせいもあるかもしれない。息を呑み、驚愕に瞳を見開きながら、こちらを見上げているアズールの表情が、はっきりと見えた。
    4262

    related works