アヤタがクラスメイトからポッキー貰った話「ねー、ささたなコンビにポッキーあげる」
ホームルームが終わり、教室はざわついている。読み掛けの本を開いて、トイレに行った灯影院を待っていると、目の前に派手な恰好をした女子が立つ。机を挟んでふわりと化粧の香りがする。普段教室の対角線上にいるタイプで、僕は思わず身構えた。
「……えっと、ごめん、どういう風の吹き回し?」
「風の吹き回しって言い方すご。ウケる」
その言い様は馬鹿にしているのか、それとも本当にツボに入ったのだろうか。どちらにせよ、意味もわからず笑われるのは気分が悪い。固くなる僕を前に、彼女はひとしきり笑ってから話を続けた。
「んーとね、うちにいっぱいあったから持って来たんだけど、配ろうとしたらみんなノリよくて、最終的に九箱ぐらいダブったんだよね。手当たり次第あげても余ってたところで、ささたながいたからちょうどいいやって。あ、ポッキー好きじゃない感じ?」
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