Prolog《色褪せない、例え今日が過ぎたって君に出会えてちょっと後悔してる。
だってこんなに切なさが溢れて脆くさせる。約束しよう。とりあえず、じゃあね》
幼い頃に何度も遊びに来た少し離れた浜辺に、彼女の姿はあった。あの頃にはなかったはずの波消しブロックが浜辺の一部を占拠している。
約十年。月日を物語る。
砂浜に足跡を残し、彼女が口ずさむ歌は波音に掻き消され、泡となって消えていく。
今日は快晴。旅立ちの日。
黒い馬車が、憧れの地への迎えがもうすぐ彼女の元にやってくる。
ーMerry me,'cause I want you to be my life companion.ー
汗ばむ海風がツインテールの金髪を揺らして、視界を少しだけ塞いだ。
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