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    うすきみ

    @usukimi377

    七海建人の沼にハマっております
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    夢主に思いを寄せる七海が、モブと夢主のあらぬ現場を見てしまうお話

    #七海建人
    sevenSeasBuilders
    #七海建人ななしwebonly

    ふたりの秘密年に数回行われる五条主催の慰労会(という名のただの宴会)がある。それは補助監督だけの時もあれば、呪術師だけの時もある。それが今回は補助監督、呪術師関係なく自由参加という事で、次の日が休みの○○は参加する事にした。
    普段はあまりこういう会に参加しない彼女だが、ここ最近忙しく、暗い案件が続いたので、飲んで騒ぎたい気分だったのだ。

    仕事を片付け、指定の居酒屋に着いた頃には既に出来上がっている者もいたが、彼女の到着にいち早く気づいた家入が手を挙げて彼女を誘った。常日頃から仲良くしてもらっている先輩に呼ばれたのが嬉しく、彼女は満面の笑みを浮かべて家入の元へ向かった。
    「おつかれ。ビールでいいかい?」
    「はい。ありがとうございます」
    荷物を置いて座る彼女にそう言うと、家入はタブレットを操作し、彼女と自分の分の酒を注文した。
    「珍しいな。君が来るなんて」
    「へへ。今日は飲みたい気分だったんで」
    「そうか。私は嬉しいからいいがな」
    口元に笑みを浮かべた家入が頭を撫でる。彼女は照れながらも嬉しそうに微笑んだ。
    そのやり取りを遠くから見つめる男が一人。トレードマークの白いスーツのジャケットと不思議な柄のネクタイを外し、ウィスキーを煽るこの男もまた、このような会には滅多に顔を出さない。それは単純に面倒臭いから。学生時代から事ある毎にウザ絡みしてくる先輩に嫌気がさしている為、あまり彼のいる会には出席したくなかった。しかし、今回は違った。可愛がっている後輩の猪野が、今日の任務帰りの車の中で言った。
    「七海さんは今日の慰労会来ないんすか?」
    彼の返事はもちろん『NO』だった。だが、続けて猪野の言った言葉に簡単に手のひらを返す。
    「残念。今回は珍しく○○さんも来るって言ってたんで「行きます」
    食い気味に返事をする彼に驚きながらも、猪野は嬉しそうに笑った。
    がしかしだ。彼女が参加すると言われて来たはずなのに、彼女の姿はどこにも無い。だが、それを誰かに聞くこともできず、只管五条のウザ絡みに耐えていた。
    慰労会が始まって一時間と少し。そろそろ帰ろうかと考え出した頃、騒ぐ呪術師達の向こうに彼女の姿を見つけた。思わず顔が緩むのに耐えていると、彼女が満面の笑みを浮かべて歩き出した。その先にいたのは家入だった。彼女と少し話した後、タブレットで注文をする家入と一瞬目が合う。家入はニヤリと笑うと、再び隣の彼女と話した後、頭を撫でた。
    ……わざとか。
    七海はそう思った。態度に出しているつもりは無いが、家入は他人のそういった事に敏い。きっと七海が彼女に好意を寄せていることにも気づいているのだろう。そんな彼女達を眺めながらも、五条のウザ絡みに嫌気がさしてきた頃、彼女が一人席を立った。トイレにでも行くのかと見ていると、彼女は荷物も持たずに外へと出ていった。それと共に呪術師の一人が同じ方向へと歩き出す。七海は嫌な予感がして、彼女達の後を追った。

    家入と飲んでいたせいか、ペースが早かったようで、○○はいつもより酔いが回っていた。火照った体を落ち着かせたくて、一人外のベンチに腰掛けていると、何度か一緒になった事のある呪術師が声をかけてきた。
    「どうしたの?大丈夫?」
    「あ、はい。少し夜風にあたりたかっただけなので」
    「そっか」
    男はそう言うと、彼女の隣に腰掛けた。近いな。
    「珍しいね。君がこういう場に来るなんて」
    「そうですね」
    彼女は彼の方を見ず答える。正直、彼女はこの男が好きでは無い。呪術師としては準一級だし、申し分ないのだが良い噂を聞いた事がない。女好きで、取っかえ引っ変えしているらしいという噂をよく耳にする。実際、この男に泣かされた同僚も見た事があるし、彼女的には五条よりも関わりたくない男だ。(面倒臭いと言う意味で)
    「○○ちゃんって可愛いよね」
    「はぁ……ありがとうございます」
    唐突に何なんだ、と思いつつも、自分よりも先輩である事には変わりない為、無下にも出来ない。
    「○○ちゃんは彼氏いるの?」
    「いませんけど」
    「ならさ、このまま俺と抜け出さない?」
    「いえ、結構です」
    彼女が答えると、男は笑いながら照れてるのかと聞いてくる。照れている訳では無い。鬱陶しいだけである。
    「俺、○○ちゃんタイプなんだよね。俺と付き合わない?」
    「いえ、結構です」
    「そう?俺結構かっこいい方だと思うし、優しくするよ?」
    「間に合ってます」
    「お似合いだと思うんだけどなー。俺と君」
    「結構でーー」
    強めに断ろうと男の方を振り向いた瞬間、唇に柔らかい感触が触れる。視界いっぱいに男の顔が映る事で、キスされたのだと気づく。突き飛ばそうと手を伸ばそうとした時、それより先に男が彼女からすごい勢いで体を離した。その顔は怯えているように見える。何事かと思っていると、頭上から低い声が聞こえた。
    「何してるんですか」
    「あ、いや……」
    男は明らかに動揺している。男の視線を辿り上を見上げると、そこには眉間に深く皺を寄せた七海が居た。
    「彼女は私が見ていますので、君は中に戻ってはいかがですか?」
    七海の言葉に、男は何度も頷き彼女には見向きもせず店の中へと戻っていく。男が店の中に入ったのを確認すると、七海は深いため息を着いて彼女の隣に腰を下ろした。
    「すみません。勝手な事を」
    「いえ、困ってたので助かりました。ありがとうございます」
    眉を下げて笑う彼女に、七海はため息をつく。
    「……お付き合いしてるわけではないんですね」
    「彼と?まさか。あんな遊び人ごめんですよ」
    「なら良かった」
    七海が安心したように息を吐いた。
    「七海さんも夜風にあたりに来たんですか?」
    「いえ、違います」
    彼の返事に彼女は首を傾げた。では何故?そう問おうとした時、唇が重なった。リップ音をさせながら離れた唇がもう一度重なる。
    「な、なみ、さん?」
    息のかかる距離で名前を呼ぶと、真剣な翠の瞳と視線が絡まる。
    「消毒です」
    「しょう、どく……」
    「えぇ」
    三度唇が重なると、七海はゆっくりと体を離した。
    「好きです。貴女の事が」
    「……へ?」
    「貴女と彼がキスをしているのを見た時、腸が煮えくり返る思いでした。思わず彼を殴り飛ばしそうになった」
    「え……」
    「こんな想いをする位なら私のものにしたい、と思ってしまった」
    彼女は七海の話を黙って聞いている。というよりは、事態に思考がついていけていないのだ。紳士で大人オブ大人、呪術師としても尊敬している彼に、まさかキスされ、告白までされるなんて。夢でも見ているのだろうか?彼女は酔った頭で必死に考える。
    「貴女が私にそういう好意が無いのは知っています。なので、これからは好きになって貰えるよう頑張らせてもらいますね」
    優しく彼女の手を握り、微笑む七海を見てこれは夢ではないんだと実感する。それと共に顔に熱が集まる。これは決して酔っているものでは無い。それだけは彼女にも分かった。
    「まずはこの後、二人で飲み直しませんか?」
    少し不安そうに聞く彼に彼女は小さく頷く。嬉しそうに笑う七海を見て、彼女の鼓動が早くなった。久しぶりに味わう胸のときめきに悪くないかな、と思ってしまったのは彼女だけの秘密である。

    余談ではあるが、後日七海に事の次第を聞いた家入は、彼女に言いよっていた男を潰しにかかったのだとか。それを察した五条が、男を京都校に送ったのを七海はほくそ笑んで見ていた。
    「七海さん、今日は何だかご機嫌ですね」
    「そうですね。色々と、うまくいきましたから」
    晴れて付き合う事となった彼女の髪を愛おしそうに撫でるその裏で、彼の重い感情が渦巻いているのを、彼女はまだ知らない。それはまだ、彼だけの秘密である。
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    うすきみ

    DONE呪詛ミン×非術師女夢主
    曖昧な関係を続けていると思っていた夢主のお話
    関係に名がつけば 私には微妙な関係の男性がいる。セフレと言うには甘過ぎて、彼氏と言うには確信の無い関係だ。

     彼と出会ったのはたまに行くバーだった。その日は厄日かと思う位ついてなくて、ただでさえ落ち込んでいるというなか、トドメの様にクソ上司に残業を押し付けられた。何とか終電前には終わったけれど、そのまま帰る気にもなれずそのバーに寄った。空腹に構わず強い酒を煽っていると低く良い声が声を掛けてきた。振り向くとそこには大層なイケメンが立っていた。
     酔っていたし何の話をしたかは良く覚えてないけれど、彼が私の隣に座って琥珀色の液体を水の様に飲んでいたのは覚えている。会話をしながら飲んでいるうちに、自然な流れで手を握られ、耳元で何かを囁かれ、私はよく分からずにそれに頷き、肩を抱かれて店を出た。そのまま何処かの綺麗なホテルで体を重ねて、気づいたら朝だった。しかし、何をしたか、どんな風にしたかを薄ら覚えている辺りが恥ずかしい。いっそ記憶を無くしていればどんなに良かったかと思うほど、昨夜の私は乱れに乱れていた。言い訳をさせてもらえば、酒と疲れのせいだ。
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