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    うすきみ

    @usukimi377

    七海建人の沼にハマっております
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    うすきみ

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    呪詛ミン×非術師女夢主
    曖昧な関係を続けていると思っていた夢主のお話

    関係に名がつけば 私には微妙な関係の男性がいる。セフレと言うには甘過ぎて、彼氏と言うには確信の無い関係だ。

     彼と出会ったのはたまに行くバーだった。その日は厄日かと思う位ついてなくて、ただでさえ落ち込んでいるというなか、トドメの様にクソ上司に残業を押し付けられた。何とか終電前には終わったけれど、そのまま帰る気にもなれずそのバーに寄った。空腹に構わず強い酒を煽っていると低く良い声が声を掛けてきた。振り向くとそこには大層なイケメンが立っていた。
     酔っていたし何の話をしたかは良く覚えてないけれど、彼が私の隣に座って琥珀色の液体を水の様に飲んでいたのは覚えている。会話をしながら飲んでいるうちに、自然な流れで手を握られ、耳元で何かを囁かれ、私はよく分からずにそれに頷き、肩を抱かれて店を出た。そのまま何処かの綺麗なホテルで体を重ねて、気づいたら朝だった。しかし、何をしたか、どんな風にしたかを薄ら覚えている辺りが恥ずかしい。いっそ記憶を無くしていればどんなに良かったかと思うほど、昨夜の私は乱れに乱れていた。言い訳をさせてもらえば、酒と疲れのせいだ。
     隣の彼はまるで恋人にする様に私を抱いて眠っている。慣れた感じがしたけど、どの女性でもこんな扱いをするのだろうか。そう考えると少しだけモヤっとした。
     結局その日も、一日彼と一緒にいた。どうやら彼も休みだったらしく『まだいいでしょう?』と甘く囁きながら懇願されてしまえば、私は受け入れてしまう訳で(だって、こんなイケメンに求められるなんてもうこの人生には無いと思う)私が自宅に帰ったのは夜になってからだった。
     一応連絡先を交換したが、正直もう連絡は来ないだろうと思った。だって、私には彼を惹き付ける様な美貌も体も性格も持ち合わせていない。せいぜい遊ばれて終わるのがオチだ。あの事は良い思い出、位がちょうどいいのだ。そう思っていたのに。
     その数日後。昼休憩にスマホを確認すると、例の彼『七海さん』からアプリにメッセージが届いていた。
    『今夜会いたいです。何時に終わりますか?』
     いやいやいや。もうこれは完全に駄目なやつです。都合良く扱われちゃうやつですよ。これは返事をしない方が懸命だろう。そう思って既読スルーをしたのに、仕事を終え会社を出ると、そこには七海さんが待っていた。
    「既読スルーとは酷いですね。傷つきました」
    「え……あ……というか、何で……」
    「何で?会いたいからに決まっているでしょう」
    「いや、そうじゃ、なくて……」
    「あぁ。先日、社員証を拝見したので」
    「……は?」
    「バーで貴女がスマホを出した時に落としたでしょう。覚えてないんですか?」
    「あぁ……」
     覚えてません。とは言えず、何となく返事をすると、彼は溜息をつき私の肩を抱いて歩き出す。
    「貴女が海鮮が好きだと言ってたので、美味しい寿司屋に行こうと思うのですが、構いませんか?」
    「……へ?」
     てっきり直ぐホテルにでも連れ込まれると思っていた私は、彼の言葉に面食らって変な声を出してしまった。
    「寿司が嫌ならパスタなどもおすすめの店がありますが」
    「え、あの……」
    「何でしょう?」
    「しょ、食事に行くんですか?」
    「えぇ。夕飯まだでしょう?」
    「そうですけど……」
     私がその先を言い淀むと、彼は何かを察した様でニヤリと笑った。
    「夕飯よりも私をご所望ですか?」
    「いえ!あ、えっと……」
    「ふふ。可愛い」
     狼狽える私を見て、彼は優しく目を細めた。そんな顔……何でするの……?
    「もちろん貴女を抱きたいですが、今日は残念ながらその時間は無いんです。なので、食事だけでもと思ったんですが」
    「あ、そ、そうなん、ですね……」
    「えぇ。それは次の機会に」
    「……は、ぃ……」
     蚊の鳴く様な声で返事をすると、彼は満足そうに微笑んだ。
     それから、週に一、二度のペースで彼との密会が始まった。食事だけの時もあれば、その後、私の家か、彼の家で体を重ねる事もあった。昼間にデートな様なお出掛けをする事もあるが、彼は決定的な言葉は何一つくれなかった。

     そんな関係が半年ほど続いたある日。
    「明日も会えますか?」
     彼の部屋、事後のベッドの中、裸で抱き合いながら彼が言った。私は頭の中で翌日の予定を考える。そして、確か会社の忘年会が入っていた事を思い出した。
    「明日は会社の忘年会があるんです。だから、何時に帰って来られるか……」
    「……男もいるんですか」
    「そりゃいますよ。男性社員の方が多い会社ですから」
    「二次会も行くんですか」
    「どうかな……わかりません」
    「私がいるのに行くんですか」
    「……はい?」
     言われている意味が分からず彼の顔を見上げると、彼は至って真面目な顔で、寧ろ眉間に皺を寄せ少し怒っているようだった。
    「私という恋人がいながら、二次会まで行くんですか」
    「こ、恋人?」
    「えぇ。こんなに頻繁に会って、体も重ねているのに、恋人以外の何があるんですか」
    「え……せふ――」
     その言葉を全て言い終わる前に、私の唇は噛み付く様に塞がれた。いつもよりも強引に口内を蹂躙され、余韻を残していた体は直ぐに火照りだす。だが彼は、その体を弄ぶ様に指で撫でるだけでその先へは進まない。
    「まさか、セフレだと思われていたとは。私の愛は全く伝わってなかった訳だ」
    「ちがっ……」
     否定しようと彼を見れば、その瞳には暗く深い闇が映る。
    「セフレ如きにこんなに時間を割くはずないでしょう。セフレならやる事やったら帰りますよ」
    「でも……」
    「でも、何です?」
     一段と低い声が先を促す。
    「好き、とか……言われなかったですし……」
    「お互い良い大人なんだから、それ位分かるでしょう?週に何度も会って、お互いの家を行き来して、セックスして。恋人以外に何があるんですか」
    「ごめん、なさい……」
    「この家にだって貴女の物が沢山ある。こんな事セフレに許すはずない」
    「そう……ですよね……」
    「やはり閉じ込めておくべきでしたね」
    「……はい?」
     聞き慣れない言葉に思わず体が固まる。閉じ込める?……私を?
    「貴女を大切にしたいあまり、優しくし過ぎました」
    「え……」
    「本当なら直ぐにでも閉じ込めて私が居なければ生きて行けないようにしたかった。でも、初めて自分から惚れた貴女を尊重して大切にしたかった。だから、自由にさせていたのに……まさかこんな形になるとは」
    「な、なみさん……」
    「とりあえず、会社は辞めて今日からここに住んでください」
    「えっ」
    「好都合な事に、最低限生活に必要な物は揃っていますからね」
     彼は態とらしく言った。
     確かに言われてみれば、彼の部屋には私の物が沢山置かれている。パジャマにスキンケア用品、洋服に化粧道具。風呂場には私用のシャンプーやコンディショナー、トリートメントまであるし、洗顔やメイク落とし、歯ブラシなんかもある。もちろん、私の部屋にもこれと同じくらい彼の物が置いてある。この状態で、どう見たらセフレだと思えたんだろうか。それはきっと、私の自信の無さから来ているんだと思う。
     だって彼は、街を歩くだけで女の人が振り向く様な素敵な人だ。食事に行っても、私が席を立ったタイミングで声を掛けている女の人だっている。彼に声を掛ける女の人は皆綺麗で、自信に満ち溢れている。きっと、彼女達と歩いている方がしっくりくるはず。社畜の様に働くボロボロの私なんかと一緒にいるより、彼女達といる方が彼は幸せになれるじゃ無いかとさえ思う。そんな荒んだ気持ちが、この当たり前の様にあった答えを見えなくしていたんだ。
    「返事は?」
     彼に問われ、遠くに行っていた意識を呼び戻す。彼を見ると、薄く笑いを浮かべながら私の答えを待っていた。
    「……私で、いいんですか?」
    「貴女が良いからここに住めと言っているんです」
    「……本当に?」
    「はぁ……本当に貴女は今まで何を見てきたんですか。私がどれ程貴女を愛しているか全くわかってないじゃないですか」
    「だって……」
    「あの日」
    「はい?」
    「貴女に声を掛けたあの日、会ったのはあれが初めてじゃないですよ」
    「え」
     予想だにしたい言葉に、時が止まる。
    「私は随分と前から貴女を見てました。攫って監禁する事も考えましたが」
    「か、んきん……」
    「私は貴女に愛して欲しかった。だから、ある程度順を追ったんですよ」
    「順……追ってました?」
    「ある程度、ですよ。監禁するよりはマシでしょう。体から始まる事だって珍しい事じゃない」
    「まぁ……」
    「愛されてる自覚はありましたから、てっきり貴女もわかっているものだと思ってましたが、意外と鈍感なんですね」
    「っ……」
    「まぁ、そんな所も可愛いですけど」
     彼は私を抱き締めると、優しく口付けを落とす。触れ合う肌が温かく、暗い気持ちを溶かしていく。
    「この先、何があっても貴女を手放すつもりはありません。私と別れる時は死を覚悟してください」
    「し……」
    「その時は貴女を殺して私も死にます」
    「こ、怖い……」
    「それ位本気だと言う事ですよ。分かって貰えました?」
    「はい……」
     返事をしながらこくりと頷くと、彼は満足そうに口許を釣り上げた。
    「二人で住むならもう少し広い家が必要ですが、とりあえずはここで我慢して下さい。良い家を探しましょう」
    「私、ここで満足ですよ?」
    「何言ってるんですか。子供が出来たら手狭になる。その前に広い家に越しておくんですよ」
    「こっ」
    「当たり前でしょう。まぁ、まだ二人の時間も楽しみたいので、もう少し先の話にはなりますがね」
     さも当然の様に告げる彼に驚きながらも、そこまで私との未来を考えてくれている事に胸が温かくなる。私、七海さんの隣にいていいんだ。
    「まずは、明日貴女の部屋の解約と引っ越しですね。会社も辞めなければ」
    「は、早い……」
    「当たり前です。今までかなり我慢しましたからね。ここからは思う存分やらせてもらいますよ」
    「……お、お手柔らかに……」
    「善処します」
     そう言って悪戯な笑みを浮かべた彼は、私を組み敷き唇を重ねる。直ぐに荒く口内を這い出す舌に、善処なんてする気が無い事が伺える。だがこの時の私は、彼の我慢がどれ程のものだったかをまだ知らない。気づいた時には、もう抜け出せない。彼の重い愛からは。
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    うすきみ

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    曖昧な関係を続けていると思っていた夢主のお話
    関係に名がつけば 私には微妙な関係の男性がいる。セフレと言うには甘過ぎて、彼氏と言うには確信の無い関係だ。

     彼と出会ったのはたまに行くバーだった。その日は厄日かと思う位ついてなくて、ただでさえ落ち込んでいるというなか、トドメの様にクソ上司に残業を押し付けられた。何とか終電前には終わったけれど、そのまま帰る気にもなれずそのバーに寄った。空腹に構わず強い酒を煽っていると低く良い声が声を掛けてきた。振り向くとそこには大層なイケメンが立っていた。
     酔っていたし何の話をしたかは良く覚えてないけれど、彼が私の隣に座って琥珀色の液体を水の様に飲んでいたのは覚えている。会話をしながら飲んでいるうちに、自然な流れで手を握られ、耳元で何かを囁かれ、私はよく分からずにそれに頷き、肩を抱かれて店を出た。そのまま何処かの綺麗なホテルで体を重ねて、気づいたら朝だった。しかし、何をしたか、どんな風にしたかを薄ら覚えている辺りが恥ずかしい。いっそ記憶を無くしていればどんなに良かったかと思うほど、昨夜の私は乱れに乱れていた。言い訳をさせてもらえば、酒と疲れのせいだ。
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